2019 Fiscal Year Research-status Report
植物根圏におけるヨウ素還元機構の分析化学的、分子遺伝学的解明
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19K05756
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
西田 翔 佐賀大学, 農学部, 准教授 (40647781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山上 睦 公益財団法人環境科学技術研究所, 環境影響研究部, 副主任研究員 (60715499)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヨウ素 / 根圏 / シロイヌナズナ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はシロイヌナズナの根が放出するヨウ素酸還元物質を同定し、さらにヨウ素酸還元に関わる遺伝子を同定することで、植物根圏におけるヨウ素酸還元機構を明らかにすることを目的としている。 1.シロイヌナズナの根が放出するヨウ素酸還元物質の同定 ヨウ素酸還元物質の単離を行うために、シロイヌナズナの根の滲出物質をトリスバッファーに捕集し、酢酸エチルによる分液を行った。そして得られた有機層および水層のヨウ素酸還元能を調査した。ヨウ素酸還元能は、還元反応により生じたヨウ化物イオンをイオンクロマトグラフィーICP質量分析計を用いて測定することにより行った。その結果、ヨウ素酸還元活性は水層で検出され有機層では検出されなかった。そこで、この水層をさらにブタノールによる分液操作に供し、水層、有機層のヨウ素酸還元活性を調査した。その結果、ヨウ素酸還元活性は水層で検出され有機層では検出されなかった。以上のことから、ヨウ素酸還元物質は親水性の高い化合物であることが明らかとなった。 2.シロイヌナズナのヨウ素酸還元能に関わる遺伝子座の同定 先行研究により選抜されたヨウ素酸還元能に差のあるシロイヌナズナの2系統について、これらのRecombinant inbred lines (RILs)60系統を対象にヨウ素酸還元能を測定し、その結果を元に量的形質遺伝子座(QTL)解析を行った。その結果、統計的有意性は認められないもののヨウ素酸還元能との関連を示唆するQTLが3箇所で検出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者の異動があったものの、共同研究者との連携により計画どおり進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.シロイヌナズナの根が放出するヨウ素酸還元物質の同定 ヨウ素酸還元能の異なる2系統の根の滲出物質を分液し、得られた水層を対象にしてメタボローム解析を実施する。また、植物の根が放出する還元物質について、ヨウ素酸還元能の異なる2系統の間で放出量に差が無いか調査する。 2.ヨウ素酸還元に関わる遺伝子の同定 ヨウ素酸還元能に差のあるシロイヌナズナの2系統のRecombinant inbred lines (RILs)の内、残りの60系統を対象にヨウ素酸還元能測定とQTL解析を実施する。 3.これまでヨウ素酸還元能測定は、イオンクロマトグラフィーICP質量分析計を用いたヨウ化物イオンの測定により行っていたが、一度の測定に要する時間が非常に長く、分析のスループットの低さが課題となっていた。そこで、イオンクロマトグラフィーのみで測定を行うことで分析速度を改善することを試みる。
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Causes of Carryover |
オープンアクセスジャーナルへの論文の出版が次年度にずれこみ出版費用分が当該年度に支出されなかったため。また、3月に参加予定となっていた学会が中止となり出張費用分が支出されなかったため。
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Research Products
(1 results)