2020 Fiscal Year Research-status Report
Molecular ecological analysis on rhizosphere microbial community responding to above-ground light environment
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19K05759
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
池田 成志 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, 上級研究員 (20396609)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イネ / Tos17 / フィトクローム / 光環境 / 共生微生物 / 微生物多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年7月下旬にサンプリングしたイネの各種フィトクローム変異体と野生型の日本晴のイネの根に共生する細菌類と糸状菌類の多様性解析を行った。細菌類については検討した各種多様性指数で変異体と野生型の日本晴の間で有意に異なるものは観察されなかった。 細菌群の存在比について検討したところ、5つの変異体(PhyA、PhyC、PhyA/PhyB、PhyA/PhyC、PhyA/PhyB/PhyC)について門レベルで5つの菌群(FCPU426、Fibrobacteres、Nitrospirae、Spirochaetes、WS2)の存在比が野生型の日本晴と有意に異なることが明らかとなった。変異体の中ではPhyA/PhyBの2重変異体については5つの門全てが日本晴に対して有意差を示した。Spirochaetes門は比較的存在比が大きく(約2.4~4.7%)、4つの変異体(PhyC、PhyA/PhyB、PhyA/PhyC、PhyA/PhyB/PhyC)で日本晴よりも大きく減少していた。特に、PhyAを共通に含む3つの多重変異体(PhyA/PhyB、PhyA/PhyC、PhyA/PhyB/PhyC)は日本晴の約半分に減少していた。 糸状菌類についてはPhyAとPhyBの変異を共通に持つ2つの多重変異体(PhyA/PhyB、PhyA/PhyB/PhyC)の2つの多様性指数(Shannon、Simpson)で日本晴よりも有意に大きいことが明らかとなった。 糸状菌群の存在比について検討したところ、3つの変異体(PhyA/PhyB、PhyA/PhyC、PhyA/PhyB/PhyC)について綱レベルで4つの菌群(Dothideomycetes、Saccharomycetes、Sordariomycetes、Ustilaginomycetes)の存在比が野生型の日本晴と有意に異なることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度の根共生微生物の分析結果に基づいて2年目に分析するイネ変異体の選定を行う予定であったが、新型コロナが突如流行したため、研究代表者の勤務地である北海道とイネの栽培場所である茨城県の間での連携作業についての見通しが困難となってしまったため、2年目以降のイネ変異体の栽培作業の計画と播種、サンプリング等の作業について申請書に記載した当初の計画通りに実施することができなくなった。また、2020年1月中旬にCrestの成果報告会のための東京出張時に新型コロナ疑いのある酷い風邪に感染して長期間にわたり体調を崩したこと、新型コロナ科研費以外のエフォートに係る業務についても新型コロナ流行により人手不足や計画変更の影響を受けて予定外の業務や作業が増えたこと等の理由のため、2020年度に予定していた2019年度にサンプリングしたイネの根共生微生物の多様性解析に関してもデータの詳細な解析が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナの流行により研究代表者の勤務地である北海道とフィトクローム遺伝子についてのイネ変異体の栽培試験の実施場所である茨城県の間での連携作業についての見通しが困難となってしまったため、当初の計画を変更し、初年度にサンプリングした試料の分析を中心に実験計画を変更した。即ち、初年度に採取した変異体と野生型のイネの根と葉身の組織の共生微生物の多様性を分析し、それらの結果に基づいて、最もフィトクローム遺伝子の変異の影響を受けていると思われる変異体の根、あるいは葉身を選定する。次に、それらについて共生微生物群集のメタゲノム解析を行い、野生型の日本晴との比較解析によりフィトクローム遺伝子の変異が根あるいは葉身に共生する微生物群集の機能性に対する影響を調べる。葉身の共生細菌の多様性解析については2年目の試験研究においてPCRベースでの多様性解析に失敗したので、3年目の前半期において細菌細胞濃縮法を用いてDNAを調製し、葉身に共生する細菌類の多様性解析を実施する。それらの結果を踏まえて、フィトクローム遺伝子の変異の影響を強く受けている変異体・組織部位を選定し、3年目の後半期にメタゲノム解析を実施する。以上の解析からイネフィトクローム遺伝子の影響を受ける微生物の系統群と機能性を特定する。
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Causes of Carryover |
初年度の根共生微生物の分析結果に基づいて2年目に分析するイネ変異体の選定を行う予定であったが、2年目の開始直前に新型コロナが突如流行したため、研究代表者の勤務地である北海道とイネの栽培場所である茨城県の間での連携作業についての見通しが困難となってしまった。そのため、2年目以降のイネ変異体の栽培作業の計画と播種、サンプリング等の作業について申請書に記載した当初の計画通りに実施することができなくなった。また、2020年1月中旬にCrestの成果報告会のための東京出張時に新型コロナ疑いのある酷い風邪に感染して長期間にわたり体調を崩したこと、新型コロナ科研費以外のエフォートに係る業務についても新型コロナ流行により2年目の研究業務遂行のための人手不足や計画変更の影響を受けて予定外の業務や作業が増えたこと等の理由により、2020年度、2021年度に当初予定していた本課題での実験計画の変更と研究の遅れたため。
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