2021 Fiscal Year Research-status Report
根粒菌3型分泌系と植物免疫を介した根粒共生不全の分子機構解明
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19K05760
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
菅原 雅之 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (90742776)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 根粒菌 / エフェクター / 共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
Bradyrhizobium diazoefficiens USDA122を含む一部のダイズ根粒菌は、Rj2遺伝型ダイズに窒素固定根粒の形成を誘導しないことが明らかとされている(Rj2共生不和合性)。この共生不和合性の原因は根粒菌のIII型分泌系から分泌されるNopPと、宿主側の抵抗性タンパク質Rj2の僅かなアミノ酸残基の違いによることが明らかとされている。本年度はRj2ダイズによるNopPエフェクターの認識・応答機構の解明を目指して、ダイズRj2と根粒菌NopPのタンパク質間相互作用解析を実施した。これまでに、大腸菌発現系および各種クロマトグラフィーにより精製された根粒菌NopPを取得できた。また無細胞タンパク質発現系により、機能ドメインごとに分割したRj2タンパク質の取得準備が整った。来年度は精製タンパク質による相互作用解析により、両タンパク質の直接的な相互作用の有無を決定する。 また不和合性根粒菌によるRj2ダイズの応答機構を明らかにするため、根粒菌を接種したダイズの根における網羅的遺伝子発現解析をRNA-Seqにより実施した。その結果、nopP変異株(和合菌株)接種区と比較して、USDA122(不和合菌株)を接種した根において、酸化ストレス、細胞壁の構築や維持に関わる遺伝子が有意に高発現していることが明らかとなった。またフラボノイド類の生合成遺伝子、および植物-病原菌相互作用に関わる遺伝子が高発現していた。一方で、遺伝子発現レベルのクラスタリングおよびPearson correlation分析からサンプル間の低い類似性が認められたため、定量RT-PCRによる発現レベルの確認と、新たな栽培系を利用したサンプル調製方法の再検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
NopPとRj2のタンパク質間相互作用解析について、Rj2タンパク質の大腸菌発現系による可溶性精製物の取得が困難であったため、発現系の再検討に時間を要した。また、RNA-Seq解析データの精度に問題が生じたため、改めてサンプル調製方法の再検討が必要となった。このような理由から計画されていた予定よりも進捗が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
無細胞発現系によるRj2タンパク質の取得とタンパク質間相互作用解析から、Rj2によるNopPの認識機構を明らかにしていく。また不和合性根粒菌に応答して顕著に発現上昇するダイズ遺伝子について、その詳細な機能を遺伝学的および生化学的に明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
タンパク質間相互作用解析の実施が遅れたこと、およびコロナ禍により学会がオンライン開催となり旅費の使用がなかったため次年度使用額が生じた。
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Research Products
(1 results)