2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K05764
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野田 陽一 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任准教授 (90282699)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | グルカナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題において,我々はKre6のβ1,6-グルカンに対する活性を調査していた.その過程において出芽酵母の細胞質,膜画分に短いβ1,6-グルカンを切断する強い活性を見出した.前年度までに,この本体を同定すべく,まず関係が予想されるExg1を含めた既知のグルカナーゼをコードする複数遺伝子の破壊株を作製して,活性を測定したところ,β1,6-グルカンに対する切断活性に影響が見られなかった.そこでその破壊株の細胞破砕液から両活性の精製を試みた.しかし,最終的に活性の本体であると推測するに至ったバンドを質量分析で解析したところ,グルカナーゼ活性との関連が低いと考えられる蛋白質であった.精製はこの段階で一度諦めたが,その後の文献や過去の知見の再調査によりおそらく本体をコードする可能性のある遺伝子を見出した.その後,その遺伝子の破壊を上記の複数遺伝子の破壊株に導入したところ,β1,6-グルカン分解活性の顕著な低下が見られた.その遺伝子がコードする蛋白質をGST融合蛋白質として発現,グルタチオンカラムを用いて精製した.精製した蛋白質を試験管内で短いβ1,6-グルカンとインキュベートしたところ,強い分解活性が観察された.また同じファミリーに属する他の酵素の解析結果や,配列の相同性から推測される活性中心に位置するアミノ酸に置換を導入したところ,分解活性は消失した.基質特異性を調べるために,β1,6-グルカンと同様に出芽酵母細胞壁の重要な構成成分であるβ1,3-グルカンに対する分解活性を,laminarioctaoseを基質として調べた.laminarioctaose はGST融合蛋白質により全く分解を受けず,活性の特異性が示された.これらの実験結果から,出芽酵母S. cerevisiaeのライセート中に検出されるβ1,6-グルカン分解活性は,Exg1と本酵素に由来することが強く示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
蛋白質のリン酸化の解析等が,予定より遅れているため.
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Strategy for Future Research Activity |
蛋白質のリン酸化の解析等や蛋白質相互作用の意味に関しての解析を進める.
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Research Products
(1 results)