2020 Fiscal Year Research-status Report
微生物産生バイオビニルの体系化と創薬シード化合物としての利用展開基盤
Project/Area Number |
19K05767
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
麻生 祐司 京都工芸繊維大学, 繊維学系, 教授 (70380590)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | バイオビニル / イタコン酸 / 発酵 / 創薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
Aspergillus niger S17-5の生産するバイオビニルである9-ヒドロキシヘキシルイタコン酸(9-HHIA)と10-ヒドロキシヘキシルイタコン酸(10-HHIA)の生産条件を最適化した。フラスコを用いて、9-HHIAおよび10-HHIAの前駆物質として考えられるオクタン酸を添加した3%グルコース含有培地でS17-5株を25日間培養したところ、9-HHIAおよび10-HHIA生産性が約1.3倍増加することを明らかにした。よって、オクタン酸が9-HHIAおよび10-HHIAの前駆物質であり、イタコン酸と類似の生合成経路で両バイオビニルが生合成されることが示唆された。次に、イタコン酸の発酵システムをベースに、9-HHIAおよび10-HHIAの発酵システムを構築した。発酵槽に連結したDOセンサ、pHセンサ、マスフローボックス、DOプロセスコントローラ、エアレーションユニット、ポンプが連動し、通気量やpHを自動制御可能なシステムとした。本システムを用いて、100 mMオクタン酸を添加した3%グルコース含有培地にてS17-5を培養した結果、培養0日目に9-HHIAおよび10-HHIAをそれぞれ0.48、1.54 g/Lを生産できた。よって、構築した発酵システムを用いることでバイオビニルを発酵生産できることがわかった。本研究は、バイオビニルの生産条件の最適化と発酵槽を用いた培養における初めての報告である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オクタン酸がバイオビニルである9-HHIAおよび10-HHIAの前駆物質であることを明らかにするとともに、これを基にして発酵条件の最適化を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
新たなバイオビニル生産菌の取得と構造解析を行う。また、バイオビニルの構造-機能相関解析を明らかにすることで、バイオビニルの創薬シード化合物として利用するための基盤を確立する。
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