2021 Fiscal Year Research-status Report
Characterization of a novel bacteria responsible for the arsenite oxidation in the rhizosphere of arsenic hyper-accumulator, Pteris vittata
Project/Area Number |
19K05778
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
宮内 啓介 東北学院大学, 工学部, 教授 (20324014)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヒ素 / 細菌 / 亜ヒ酸酸化 / Pandoraea / 根圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒ素高蓄積植物であるモエジマシダは、環境中のヒ酸を根から吸収し、亜ヒ酸はヒ酸に酸化してから吸収する。亜ヒ酸酸化細菌Pandoraea sp. NE5株は、モエジマシダ根圏から単離された、亜ヒ酸酸化能を有する細菌である。しかし、そのゲノム配列からは、既知の亜ヒ酸酸化酵素遺伝子であるaioABに相同性をもつORFは見出されなかった。そこで、本菌の亜ヒ酸酸化酵素遺伝子を明らかにするとともに、モエジマシダ根圏での本菌の役割を探ることとした。 昨年度までの研究で、NE5株にトランスポゾン(Tn)を導入し、亜ヒ酸酸化能が低下した変異株を24株得ている。ゲノム配列を登録するためにDFASTを用いて再アノテーションを行い、それに基づいてORF番号をこれまでのものから登録に使用するものに改めた。24の挿入箇所を改めて整理したところ、23株はORF内に挿入されたものであった。その中でも、ベータ酸化に関わると考えられる遺伝子群、ビオチン合成遺伝子群、ビオチン依存性カルボキシトランスフェラーゼ遺伝子等が並んでいるクラスターにTnが挿入されたものが5株存在していた。この領域に亜ヒ酸酸化に関与する遺伝子が存在する可能性が高い。また、モリブドプテリンの生合成を担うmoaD、およびモリブデンの輸送に関わるmodAにTnが挿入された変異株がそれぞれ2株(挿入部位は同一)と1株取得されたことから、モリブデンを活性中心にもつ酵素が亜ヒ酸酸化に関与していることが強く示唆された。また、oxidoreductaseと相同性を示すORF(LOCUS_16990)にTnが挿入された変異株が24株中4株確認され、それぞれ異なる部位に挿入されていたことから、このORFが亜ヒ酸酸化に関わっている可能性が強く示唆された。相同組換えを用いたこのORFの破壊を試みたが、取得には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外での研究滞在のため、研究期間が短縮となった。破壊株の作製が予想に反して難しく、次年度の課題となった。モエジマシダへの摂取実験は予備実験を行った状態であるので、次年度に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、亜ヒ酸酸化酵素遺伝子のクローニングを進めていく。変異株のスクリーニングで得られたORFについては、破壊株の作製に取り組みつつ、高発現株の作製を行う。活性にはモリブデンが必要である可能性が高いため、モリブデン結合部位をもつORFをゲノム配列から抽出することも考えている。NE5株の亜ヒ酸酸化活性は、定常期以降に現れるので、RNAの発現解析も行いたい。 また、モエジマシダを水耕栽培してヒ素を吸収させる際にNE5株を加えて、NE5株がモエジマシダの生育やヒ素吸収に与える影響を調べる予定である。
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Causes of Carryover |
海外での研究滞在のため、研究期間が短縮となったこと、不在となる時期が、植物の苗を用いた実験を行う時期と重なったことで今年度の予算を使うことができなかった。研究滞在期間中の中断については届けを提出した。
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