2020 Fiscal Year Research-status Report
高効率多目的排出担体創製へ向けた変異型MscLの電気生理、分子動力学的特性解析
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19K05785
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 賢一 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70508382)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | メカノセンシティブチャネル / MscL / イノシン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
メカノセンシティブチャネルの一種であるMscLのG46D変異体はイノシン酸生合成を強化した大腸菌において細胞外へイノシン酸を排出していると考えられる結果を得た。次の実験工程としてMscLのG46D変異体に対するパッチクランプ法を用いた機能解析を予定していたが、転職に伴う実験環境の大きな変化と、新型コロナウイルス感染症に伴う移動制限により、異なる施設へ出向いての研究が困難となったため、異なるアプローチを行う必要が生じた。 本課題において物質排出担体の基礎として着目しているMscLは、一般的に細胞が低浸透圧ストレスに晒された際に膨圧を開放する安全バルブとしての働きをすると考えられている。低浸透圧耐性に着目して探索されたG46D変異体の発現により、イノシン酸の生合成強化株において細胞外のイノシン酸蓄積量の向上と明確な成育の向上が見られた。これはイノシン酸過剰生産を目的に改変された代謝経路により、細胞内に過剰にイノシン酸が蓄積されることで他の生育に必要な反応が抑制されたためであると仮説を立てることができる。また、逆説的に本株において生育の向上を示すMscLの変異体を探索することができれば、それはイノシン酸の排出担体として機能する変異体である可能性が高いと予想される。MscLのランダム変異ライブラリを作成し、イノシン酸生合成強化株における生育向上効果のある変異型MscLを探索することで、物質排出担体として重要な要素を見出すことができると考えた。現在本実験系の構築を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
転職に伴う実験環境の大きな変化と、新型コロナウイルス感染症に伴う移動制限により、異なる施設へ出向いての研究が困難となった。このため、実験計画における優先順位の組み換えと、研究環境の整備のため遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
新規変異型MscLを取得し、培養試験によって物質生産性への影響を評価する。新型コロナウイルス感染症の影響が緩和され次第パッチクランプ法による変異型MscLの電気生理学的解析を行い、その結果を踏まえて分子動力学的シミュレーションによるチャネルデザインを行う。
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Causes of Carryover |
転職に伴う実験環境の大きな変化と、新型コロナウイルス感染症に伴う移動制限により、異なる施設へ出向いての研究が困難となったため、実験環境の整備と優先する実験の変更のため研究の遅れが生じたためである。今後、DNA関連実験の優先度が向上したため、DNA実験系試薬の購入、プライマーの合成やDNAシーケンス等の外部委託費に充てることを予定している。
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