2022 Fiscal Year Research-status Report
高効率多目的排出担体創製へ向けた変異型MscLの電気生理、分子動力学的特性解析
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19K05785
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 賢一 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70508382)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | メカノセンシティブチャネル / イノシン酸 / MscL |
Outline of Annual Research Achievements |
メカノセンシティブチャネルは細胞が低浸透圧ストレスに晒された際に開口し、細胞内の低分子化合物を細胞外に排出することで膨圧の上昇に伴う破裂を防ぐ安全弁としての機能を果たすとされている。中でもMscLは他のメカノセンシティブチャネルと比較し高い張力により比較的大きな孔を形成するとされている。 微生物発酵においてこのチャネルを排出担体として利用することを考えた場合、制御が困難な低浸透圧ストレスを物質生産のトリガーとして利用することは現実的ではない。このため、通常培養時においても一定確率で開口しうる変異体を見出し、利用する必要がある。しかし、本チャネルは基質特異性が低いため、目的の物質以外にも多くの物質が細胞外にリークしてしまうことが予想される。高効率な物質排出担体の創製のためには、野生型と比較して開口頻度が適度に向上していること、基質特異性の変化に伴う目的物質以外のリークが抑制されることが必要と考えられる。 イノシン酸過剰生産を目的に代謝改変された大腸菌にG46D変異型MscLを導入すると、イノシン酸生産量の向上と合わせて生育速度の向上が観察される。これは細胞内に過剰蓄積されたイノシン酸が変異型MscLを介し細胞外へ排出されることで代謝が生育に適した方向へリバランスされたこと、基質特異性の変化により他の化合物のリークが適度に抑制されたことが予想される。 Error-Prone PCRにより変異が投入されたと考えられるmscL遺伝子をイノシン酸生合成を強化した大腸菌に導入して培養評価を行ったところ、生育が向上した株を2株取得した。これらはG46D変異体と同様に前述した条件2つを満たしている変異である可能性がある。この変異体の機能解析を進めることにより、物質排出担体としてメカノセンシティブチャネルに要求される特性を明らかにする足がかりとなることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
再現性のある正確な成育の評価系を構築するのに多くの時間を要した。また、新型コロナウイルス感染症による行動制限等のため、別の施設で行う必要のある電気生理学的解析関連の実験の遂行が困難であり、計画の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
イノシン酸過剰生成を目的に代謝改変が行われた大腸菌に導入することで生育の向上が見られたMscL変異体について、導入遺伝子の変異点を特定し、機能を予測するため配列解析を行う。また、次年度はコロナウイルス感染症の規制が緩和されることが予想されるため、これまで取得した変異型メカノセンシティブチャネルの特性を解析することを中心に研究を遂行する。さらに、新規物質排出担体のとして有力と考えられる変異遺伝子を持った株の更なるスクリーニングを行うことで、物質生産に適した変異を持ったMscLの特性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究環境の変化に伴う計画の遅れや、病院での業務内容の変化に伴う行動自粛の必要性が生じたため出張旅費や他施設の装置を用いる解析を行うことができなかった。次年度はこれまで取得した変異型メカノセンシティブチャネルの解析を主眼とした解析を進める。 実際の物質生産を主眼とした細胞外排出物の受託解析サービス、また、これまでの研究で得られた結果から得られた情報を基にデザインしたMscL変異体を作成するため、人工遺伝子合成サービス、DNAシーケンス等に充当することを予定している。
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