2019 Fiscal Year Research-status Report
Functional analysis and application of sulfoglycosidase from mucin-assimilating bacteria
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19K05789
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 紀彦 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (40724612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伏信 進矢 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (00302589)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スルフォグリコシダーゼ / ビフィズス菌 / ムチン / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸内細菌による粘液ムチンの分解は、腸内細菌叢の形成・維持機構や様々な疾患との関連が深い。本研究ではヒト常在性ビフィズス菌Bifidobacterium bifidumのムチン分解酵素スルフォグリコシダーゼBbhIIの機能解析を行った。 BbhIIのN末端側に存在するcarbohydrate-binding module(CBM)の結合特異性とムチンに対する活性促進機能に関して、等温熱滴定カロリメトリーやELISA解析、CBM欠損酵素発現株とムチンを用いた活性測定等の解析行い、CBMドメインが硫酸化糖鎖を特異的に認識すると同時にムチン分解に効果的な役割を果たしていることを明らかにした。さらに、BbhII阻害剤の検討したところ、硫酸化糖アナログ化合物がBbhII阻害剤として効果を有することが示された。さらにヒト乳児糞便中のbbhII遺伝子存在比と糖タンパク質糖鎖末端に存在する硫酸化糖の存在比の相関性解析の結果、負の相関を示す傾向が観察され、BbhIIが乳児腸管ムチンの分解に関与することが示唆された。 またBbhIIの基質の認識に関与するアミノ酸残基のある変異体において、オキサゾリン基質を供与体として用いたときに単糖に硫酸化糖を転移する活性を微弱ながら検出した。反応条件を今後さらに詳細に検討し、硫酸化糖鎖の合成スケールを高めていく必要がある。 このように、本研究結果により本酵素の腸管ムチンの糖鎖分解における機能の一端を明らかにすることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本酵素が菌叢形成において重要な役割を果たすかについて評価するため、次の実験を行った。すなわち、B. bifidumと棲息域を同じくする他種ビフィズス菌等の腸内細菌との共培養実験によるBbhII分解物のクロスフィーディングの可能性について解析を試みた。しかし用いたムチン分子種の硫酸化糖の含有率の問題などから、さらなる条件の検討が必要と考えられた。また、BbhIIを改変応用した機能性硫酸化糖鎖の合成研究について、高効率で合成する変異型酵素の取得について現在進行中である。一方で、BbhII酵素中のCBMドメインの機能の解析や、阻害剤の検討、乳児糞便中のムチン糖鎖の解析から本酵素の機能についての詳細な解析を行うことで、本酵素がムチン中の硫酸化糖鎖の分解に重要な役割を果たすという仮説を証明する多くの証拠を得ることに成功した。CBMの機能に関しては、本CBM32が硫酸化GlcNAcに特異的に結合することを示すことに成功し、このような硫酸化糖鎖認識CBMの報告は初めてとなる。上記のように、本研究はおおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、BbhII酵素を用いた機能性硫酸化糖鎖の合成を目的として、シンターゼ様活性を有する改変型酵素の作出とそれを用いた糖鎖合成研究をより一層推進する。合成に用いる供与体基質(オキサゾリン誘導体)の合成や受容体の準備は完了しているため、活性を獲得する可能性のあるアミノ酸置換体酵素の作出を継続して行うと共に、糖鎖合成後の分離技術の確立を進めていく。 また、共培養試験の条件検討についても引き続き行い、BbhIIの機能に関して様々な生物学的視点から検討を行うこととする。
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Research Products
(5 results)