2019 Fiscal Year Research-status Report
Production of (+)-alliin by tandem enzymatic reactions
Project/Area Number |
19K05794
|
Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
日比 慎 富山県立大学, 工学部, 准教授 (30432347)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 道樹 京都大学, 農学研究科, 特定助教 (40766193)
原 良太郎 京都大学, 農学研究科, 特定准教授 (70553535)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | (+)-アリイン / バイオプロセス / ファイトケミカル |
Outline of Annual Research Achievements |
(+)-アリインは疲労回復や抗酸化作用などの効能を持ち、機能性表示食品や医薬品として市販されている。(+)-アリインの様な有機硫黄化合物は他にも植物体内に含有するが、ごく微量であるためその機能性は十分に評価されていない。一方でこうした微量有機硫黄化合物は豊富な食経験から安全性が保証されており、新規なファイトケミカルとして魅力的な化合物である。本研究では既知または新規な微生物酵素の持つ触媒活性を活用し、植物が作る希少なファイトケミカルを著量生産できるバイオプロセスの開発を目的とする。 これまでにtryptophanase(TnaA)とオキシゲナーゼ(IDO)を組み合わせることで、安価な原料から(+)-アリインを生産できるバイオプロセスの開発に成功している。本研究ではこの(+)-アリイン生産バイオプロセスを基盤とし、(A)効率的な(+)-アリイン生産法の確立、および(B)様々なファイトケミカル分子種への展開を検討する。 本年度は(B)様々なファイトケミカル分子種への展開を中心に検討を実施した。まずアリルチオールの代わりに様々なチオールを使用し、TnaAの各チオール類に対する基質特異性を解析した。その結果、TnaAはアリルチオールの他に、メタンチオール、エタンチオールを基質として受容し、それぞれS-メチルシステイン、S-エチルシステインを生成する事を明らかにした。次に(+)-アリインの分子種変換を目指し、にんにくのアリイナーゼと同様の活性を示す微生物酵素であるCitrobacter freundii由来MGLの解析を実施した。MGLを高発現する大腸菌株を構築し、組換えMGLを大量に得ることに成功している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(A)効率的な(+)-アリイン生産法の確立に関しては、(+)-アリイン生産菌の構築や新規酵素の探索を進めており、次年度以降に研究課題の進捗が期待できる。
(B)様々なファイトケミカル分子種への展開に関しては、今年度予定通りに進捗しており、次年度以降の研究の基盤となる成果が得られている。
|
Strategy for Future Research Activity |
(A)効率的な(+)-アリイン生産法の確立に関しては、現在構築を進めている(+)-アリイン生産菌を用いたバイオプロセス検討を実施する。また新規に得られた酵素を上手く組み合わせることで、より効率的に(+)-アリインを生産できる反応システムの開発を目指していく。 (B)様々なファイトケミカル分子種への展開に関しては、本年度得られた結果を基盤として、TnaA-IDOタンデム酵素反応による(+)-メチインと(+)-エチインのバイオプロセスの構築を行う。またこれらの希少なファイトケミカルの効率的な生産へ向けた反応条件検討を行っていく。次に、現在組換え発現に成功したMGLを用いて、(+)-アリインからアリシンを生成する活性の確認を行う。さらにアリイナーゼと(+)-アリインを混合することで、アリシンを発生させるシステムの開発を試みる。アリシンには、強力な殺菌効果があり、機能性食品や感染症の治療薬としての利用が期待される。
|
Causes of Carryover |
学会の開催が中止となったため。 次年度の学会参加費に計上したい。
|
Research Products
(1 results)