2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K05797
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
中川 明 石川県立大学, 生物資源環境学部, 講師 (10573107)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | プロモーター工学 / 酸誘導性 / 大腸菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までにgadBプロモーターを用いて、おおよその酸誘導プロモーター観察系を構築した.本年度は、その観察系を用いて、詳細な解析を行った.gadBプロモーターのgad boxを徐々に広めていったところ、広げるにつれて転写活性が高まり、酸誘導性が観察されたが、シグモイド様の誘導性は観察されなかった.恐らく、このようなわかりにくい結果が、酸誘導性を示す領域の同定に至らなかった原因ではないかと考えている.よって、酸誘導において、転写制御因子数の少ない、gadEをモデルとして研究を進めた.こちらのgad boxにおいてもそれのみでは酸誘導性は発揮されなかった.しかし、3つあるgad boxの内、F1とF2を融合したプロモーターにおいて酸誘導性が認められた.F1、F2を融合した配列は400bpと比較的長いため、F1とF2の間の配列を縮めたところ、およそ200bp以内に2つのgad boxを含むようなプロモーターで、十分な酸誘導性が認められた.この200bpはGadE、YdeO、EvgAに依存的であった.しかし、endogenusなgadE自体がYdeOやEvgAによって制御されており、この200bp領域は両者による制御が効かないはずの領域であるため、YdeOやEvgAに直接的に制御されていない可能性が考えられる.本プロモーターは非常に弱く、応用性が乏しく、観察もしにくいため、基本転写制御領域をlacUV5と入れ替えたところ、20倍の活性を示し、酸誘導性も確認された.しかし、本プロモーターは非酸性条件下で転写されているために誘導性という点では利用しにくい.今後は更なる改良を重ね、非酸性条件下で転写されず、酸性条件下でのみ誘導されるような配列改変を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
プロモーター領域の付加、削除が予想に反してあまりきれいな結果をもたらさず、じわじわと変化するために、酸誘導領域の決定ができていないことが一番の要因である.
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Strategy for Future Research Activity |
200bpの合成プロモーターを用いて改変を施す.まず、-10~-35領域のgad boxが影響せず、基本的な転写制御を担う領域を改変することにより、誘導性を変えずに非酸性条件下での転写を極力抑えるようなプロモーターを開発する.更に、gad boxの配列を変えることにより、誘導性の強化を試みる.また、これら領域はGadE-RcsBによって制御されるため、これら因子の発現強化を行い、誘導条件下での発現を向上させる. ゆとりがあれば、YdeOやEvgAの関わりを遺伝学的解析によって調べ、酸誘導性にこれら因子がどのように応答するかを明らかにする.
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Causes of Carryover |
何故か人件費が年度を超えるまで決定しなかったため余った.
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