2020 Fiscal Year Research-status Report
The effect of sake yeast specific genes on properties of sake
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19K05800
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
中山 俊一 東京農業大学, 応用生物科学部, 准教授 (90508243)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 清酒酵母 / 清酒醸造 / 遺伝子破壊 / メタボローム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、清酒酵母に特徴的な遺伝子について清酒酵母における遺伝子破壊株を作製し、得られた破壊株により清酒を醸造し酒質にどの様な影響を及ぼすかを調べ、新たな育種のターゲットとなる代謝経路や遺伝子を特定することを目的としている。 本年度は、清酒酵母において高発現することを見出している糖新生の遺伝子の転写制御を担う転写因子と糖新生の遺伝子について出芽酵母用マーカー除去型ベクターpAUR135を用い親株の遺伝子にストップコドンを挿入することで遺伝子を破壊した破壊株を用いて総米1kgの清酒の小仕込み試験を行った。破壊株の親株には二倍体である清酒酵母K701を胞子形成させたのち選抜した一倍体の株を用いた。 これらの株を用いて清酒醸造した場合、エタノール生成速度と生成量は親株と破壊株でほぼ同じであった。それに対して、香気成分については清酒の吟醸香の主要な成分の一つである酢酸イソアミルがおよそ50%にまで低下しており、清酒酵母においてこう発現する転写因子や糖新生経路が酒質に重要な役割を持つことが明らかとなった。 これら糖新生に関わる遺伝子の破壊株と前年度取得したビオチン生合成に関わる遺伝子破壊株のメタボローム解析を行い、細胞内の代謝物で変化している化合物を抽出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、清酒酵母を親株として糖新生に関わる遺伝子と昨年度取得したビオチン生合成に関わる遺伝子破壊株についてメタボローム解析を行い、細胞内での代謝がどのように変化しているかも調べた。この様に、細胞内の代謝物と清酒醸造の際に細胞から生産される代謝物の両方の面から研究できており、研究は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、清酒酵母に特徴的な遺伝子を清酒酵母において破壊し、得られた破壊株を用いて清酒醸造を行い醸造特性を調べる。清酒中の呈味や香気成分は清酒酵母の代謝によって生み出されるものであるため、特にメタボローム解析による細胞内の網羅的な代謝物の比較と清酒中の成分比較によって、各遺伝子破壊が代謝にどのような影響を及ぼしているかも明らかにする。
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