2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of bio-degradative composite resin containing alpha-1,3-glucan and enzyme for its recycling
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19K05803
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
若山 守 立命館大学, 生命科学部, 教授 (70240455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日び 隆雄 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (00285181)
武田 陽一 立命館大学, 生命科学部, 教授 (20423973)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | α-1,3-グルカン / α-1,3-グルカナーゼ / 生分解性樹脂 / X-線結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、α-1,3-グルカンを他の生分解性ポリマーと組合わせることで新規の機能を有する生分解性複合樹脂の開発を行うとともに、開発した樹脂の再資源化 を環境にやさしく効率よくおこなうための酵素α-1,3-グルカナーゼの高機能化をセットで行うこと目的としている。プラスティック製品不使用の流れが加速す るなか、再資源化しやすい代替生分解性樹脂の開発が注目されており、新たな素材としてα-1,3-グルカンも機能性樹脂の素材として注目され始めたが、その報告例はまだ僅かである。その分解に関わるα-1,3-グルカナーゼの構造と機能に関するアプローチは皆無であり、基質認識や触媒反応メ カニズムに関する研究報告はない。申請者らのグループは、すでに、Streptococcus mutans由来のグルコシル基転移酵素(GTF-1)遺伝子を大腸菌Rosetta-gami B (DE3)にクローニングすることにより、調製した組換えGTF-1を用いてα-1,3-グルカンを酵素合成する方法を確立している。昨年度に、GTF-1遺伝子を操作し、組換え GTF-1を生産性を向上させることに成功したことにより、α-1,3-グルカンの収率も最高で40倍に高めることが可能となった。本研究課題の目的の1つであるα-1,3-グルカンの高機能化の1つとしてのカルボキシメチル化樹脂の作製と修飾樹脂の特性解析を行った。一方、調製した生分解性複合樹脂の再資源化を可能とするα-1,3-グルカナーゼに関して、新規耐熱性α-1,3-グルカナーゼとして見出しStreptomyces thermodiastaticus由来α-1,3-グルカナーゼの大腸菌における高発現系の構築を行うとともに、耐熱性α-1,3-グルカナーゼとしては初めてX-線結晶構造解析を行い、耐熱性α -1,3-グルカナーゼの触媒ユニットの立体構造を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
生分解性複合樹脂の骨格となるα-1,3-グルカンの大量調製およびカルボキシメチル化修飾率の解析の検討段階でかなり手間取った。特に、大量生産を困難にしている主原因が判明したので、その原因の除去あるいは低減化と言う課題が浮き彫りとなった。α-1,3-グルカンのカルボキシメチル化の最適化条件の検討を行った。現在、修飾率の解析中である。他の生分解性樹脂との複合化の検討までは進めなかった点においては、やはりビハインドの状況が継続していると言える。しかし、一方で、生分解性樹脂の再資源化の鍵を握る酵素として、新たに耐熱性α-1,3-グルカナーゼの触媒ユニットの構造解析に成功し、酵素に耐熱性を付与する構造的基盤を明らかにした点は、他のα-1,3-グルカナーゼの耐熱化につながる成果が得られたものであり、将来的には、生分解性樹脂の効率的再資源化に資する成果と考えている。以上の結果から、概ね当初計画より遅れ気味の状況にあるものの、次につながる意義のある結果を出しながら、前に進めることができていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に検討し残したα-1,3-グルカンのカルボキシメチル化の最適化条件と修飾率の決定を行う。また、銀イオンを中心とした金属イオンを結合させた樹脂を調製し、物性、生分解性、抗菌性など各種特性を評価する。その続きとして令和3年度には、当初より予定しているα-1,3-グルカンとポリ乳酸やキチンなどとの生分解性複合樹脂を調製し、その物性・機能性評価を粛々とおこなっていく。同時に、調製した生分解性複合樹脂の再資源化に向けて、低分子糖や乳酸への効率的酵素分解法の検討をおこなう。また、ナノレベルで樹脂と酵素の相互作用を解析するとともに、構造に基づく変異型酵素の作製を行い、酵素による樹脂分解効率の向上を目指した酵素の高機能化を目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で出張が取りやめになった等の理由で、その分を物品購入に使用したため。
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Research Products
(2 results)