2020 Fiscal Year Research-status Report
難培養性微生物の覚醒シグナルに応答する遺伝子の解明
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19K05804
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
村上 千穂 安田女子大学, 薬学部, 助教 (50649077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青井 議輝 広島大学, 統合生命科学研究科(先), 准教授 (40386636)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 難培養性微生物 / 亜硝酸酸化細菌 / Nitrospira / 休眠と覚醒 / RNA-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
難培養性微生物が休眠状態から覚醒する遺伝子発現の変化を RNA-seq によって網羅的に解析して覚醒シグナルに応答する遺伝子を明らかにする。前年度のRNA-seq解析により、難培養性微生物である亜硝酸酸化細菌の休眠状態, 増殖状態, 覚醒(増殖開始)状態の3状態の全遺伝子の4105個の遺伝子発現状態が明らかとなった。 本年度は、遺伝子発現量の差解析により、休眠状態と増殖状態の間に覚醒状態を示す状態があることを確認することができた。 まず、休眠状態を表すと考えられるRNAポリメラーゼのσ因子を特定することができた。これにより、増殖状態から亜硝酸の欠乏(飢餓)により休眠状態へと移行したことが遺伝子レベルでも明らかになった。次に、休眠状態と覚醒状態の遺伝子発現には、遺伝子数はわずかだが、明確な変化があることが分かった。これにより、第三の相、増殖してないが休眠状態とも異なる覚醒状態をとらえることに成功した。また、覚醒状態から増殖状態になる際に大きく発現量の低下した遺伝子を調べたところ、覚醒シグナルに応答する遺伝子が3個、特定された。これらの遺伝子発現変化は、休眠・覚醒状態で覚醒シグナルを感知して、増殖状態では覚醒シグナルを感知しない(増殖速度に影響を与えない)という表現型と良く一致していることがわかった。 以上により、3状態の遺伝子発現の変化が明らかとなり、休眠・覚醒現象を遺伝子の発現で説明可能になった。また、覚醒シグナルに応答する遺伝子の候補は3個にまで絞ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年と次年度に渡って、覚醒シグナルを感知する機構を解明するにあたり、目的とする 遺伝子の候補が3個までに絞れたため、順調に進展しているといえる。最終年度は、タンパク質発現と、覚醒シグナルとの相互作用解析まで行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
休眠状態と増殖状態の遺伝子発現の差から、両者は遺伝子の発現に大きな差があると言える。今後は、覚醒状態の遺伝子発現の特徴を解析から明らかにし、第三の状態があることを明らかにする。また、同定された3個のシグナルを感知する遺伝子のタンパク質発現を行う予定である。
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Causes of Carryover |
国際学会や国内学会が延期またはオンラインになったため、予定していた旅費を来年度に繰り越します。
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