2020 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of sulfate reducing bacteria capable of electrical microbiologically influenced corrosion
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19K05807
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Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
Principal Investigator |
平野 伸一 一般財団法人電力中央研究所, 環境科学研究所, 上席研究員 (20392748)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 硫酸還元菌 / 金属腐食 / 電子 / 微生物腐食 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は異なる環境(淡水湖沼、海洋環境)より獲得した固体鉄から電子を引き抜く能力を有する電気腐食性硫酸還元菌3株(Desulfovibrio sp. EE-1株、Desulfovibrio sp. SDB-1株、Desulforhabdus SDB-2株)を対象として、最大5カ月の長期炭素鋼腐食試験を実施し、腐食速度および腐食様式を比較した。3株とも炭素鋼表面で腐食生成物が形成した後も腐食を継続して促進し、特にDesulforhabdus SDB-2株においては他の2株とは異なる組成、形態の腐食生成物の形成が観察された。腐食様式の違いをもたらす酵素、遺伝子を推定するために、その基盤情報となるゲノム配列の解読を3株について実施した。既報の電気腐食性硫酸還元菌であるDesulfovibrio ferrophilus IS5株についてはゲノム配列が公開されており、かつ固体からの電子獲得に寄与する酵素(Cytochrome)が推定されている。そこで、本研究において明らかにした3株のゲノム配列における類似配列の有無を確かめたが、高い相同性を有する配列は発見できなかった。本研究で対象とした3株について配列情報からだけでは固体鉄から電子を引き抜く反応に関与する遺伝子を特定できなかったことから、トランスクリプトーム解析に着手した。まず、Desulfovibrio sp. SDB-1株を水素もしくは固体鉄を単一電子供与体として培養を行い、活発に増殖が見られるタイミングで菌体を回収、RNAを抽出後、RNA-seqにより電子供与体の違いにより転写される遺伝子のパターンを比較した。固体鉄からの電子獲得に必要な遺伝子を推定するために、固体鉄培養時に転写量の増加した遺伝子をリスト化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は電気化学的に異なる腐食様式を持つ硫酸還元菌Desulfovibrio sp. EE-1株、Desulfovibrio sp. SDB-1株、Desulforhabdus SDB-2株を対象として、長期腐食試験を行い、腐食活性、腐食形態の違いを明らかにするとともに、腐食様式の違いをもたらす因子を推定するために分子生物学的な解析を進めることができたため、(2)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、Desulfovibrio sp. EE-1株、Desulforhabdus sp. SDB-2株についてもトランスクリプトーム解析により鉄腐食時に特異的に発現している遺伝子を推定し、腐食メカニズムおよび腐食様式の違いを引き起こす要因を推定する。
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Causes of Carryover |
新型コロナにより学会のオンライン開催による計画変更に伴い残額が生じた。次年度以降、成果の学会発表、論文発表に使用する。
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Research Products
(7 results)