2019 Fiscal Year Research-status Report
Activation of sleeping or weak expressing microbial enzyme genes and elucidation of the awakening mechanism
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19K05811
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
舟根 和美 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (90353953)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | キシラナーゼ / アガラーゼ / カラギーナーゼ / Paenibacillus / CIグルカノトランスフェラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
環状イソマルトオリゴ糖(CI)生産株であるPaenibacillus agaridevorans T-3040株のゲノム情報よりキシラナーゼ、ιカラギーナーゼ、アガラーゼ遺伝子を持つことが明らかになったが、野生株はこれらの酵素活性は非常に弱い。リボゾーム工学法によりこれらの酵素遺伝子を覚醒させるため、弱ストレプトマイシン耐性(rsmG変異)、強ストレプトマイシン耐性(rpsL変異)、およびリファンピシン耐性(rpoB変異)を付与し、68株の耐性株を得た。そのうちCIグルカノトランスフェラーゼ(CITase)の活性が上昇したものは21株で、野生株の3倍~200倍の活性上昇がみられた。キシラナーゼ活性が上昇したものはrsmG変異株が1株、rpoB変異株が1株の合計2株で、活性の上昇はそれぞれ2倍、3倍であった。アガラーゼ活性に関しては、rpsL、rsmG、rpoBの三重変異にスカンジウム耐性を付与した変異株のみであった。ιカラギーナーゼに関してはrpoB変異株に野生株の約7倍の活性上昇がみられた。いずれの変異株もCITaseの活性上昇を伴っていたが、キシラナーゼ、アガラーゼ、ιカラギーナーゼが互いに同時に活性上昇した変異株は得られなかった。これらの変異株にさらなる変異の付与を試みたが、活性が上昇したのはιカラギーナーゼ活性が上昇したrpoB変異株のみで、これにストレプトマイシン耐性を付与してさらに2倍のιカラギーナーゼ活性が上昇した変異株を取得することができた。 一方、土壌から菌のスクリーニングを行い、キシラナーゼ、ιカラギーナーゼ、アガラーゼ生産株および、ポリエチレンテレフタレート(PET)分解菌、ポリスチレン(PS)分解菌を分離することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変異株やスクリーニング株で目的の酵素活性が高いものを得ようとする場合、偶然が左右する場合も多いので、一般的に必ず成功する保証はない。このたび、キシラナーゼ、アガラーゼ、ιカラギーナーゼとも活性が上昇した変異株を年度内に取得できたことで、おおむね順調な進捗であると判断した。また、PET資化性菌やポリスチレン資化性菌と考えられる菌を採取することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
スクリーニングで得られたカラギーナーゼ生産株、キシラナーゼ生産株、カラギーナーゼ生産株、およびPET分解菌、ポリスチレン分解菌を同定を行う。PET分解菌とポリスチレン分解菌については分解産物を分離精製し、構造を明らかにする。 スクリーニングで得られた菌株にリボゾーム工学的手法で抗生物質耐性を付与し、それぞれの酵素活性が上昇した変異株の取得を試みる。 平成元年度に得られたリファンピシン+ストレプトマイシン耐性のιカラギーナーゼ上昇変異株にどのような変異が導入されたかを明らかにする。野生株、リファンピシン耐性株、リファンピシン+ストレプトマイシン二重耐性株におけるιカラギーナーゼ遺伝子発現解析を行い、酵素遺伝子発現量が増加していることを確認する。
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Causes of Carryover |
スクリーニング旅行を1回しか行うことができなかったので、次年度使用額が生じた。この金額は、スクリーニング菌の微生物の同定などに使用する計画である。
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