2019 Fiscal Year Research-status Report
Study on molecular regulatory mechanisms in thermo-sensitive male sterility of rice based on cell-free translation system
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19K05822
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
戸澤 譲 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (90363267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川岸 万紀子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (50355707)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イネ / Oryza sativa / 高温不稔 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
イネ転写因子あるいは転写因子候補として、MYB80ホモログ、TDR, EAT1, bHLH142の各cDNAのタンパク質コード領域を無細胞翻訳の鋳型mRNA転写調製用プラスミドpYT08へサブクローニングした。コムギ胚芽抽出液を利用した無細胞翻訳系により、個々のタンパク質合成試験を進めタンパク質発現を確認した。高温条件において転写制御の乱れが不稔を招くと予想されるCYP703遺伝子上流のDNA領域をDNA断片として領域ごとに調製し、末端を32Pラジオアイソトープで標識し、転写因子結合の予備実験を行なった。 各転写因子タンパク質の共存条件で標識DNAの移動度の変化が見られたため、さらに詳細なコントロール区との比較実験を進めた。その結果、転写因子の量比ではなく、合成反応液に共存するコムギ胚芽抽出液の内在性のタンパク質の量比が、DNA断片の移動度に優勢に影響することが判明した。これは、用いたDNA断片に特異的あるいは非特異的に結合するタンパク質が、コムギ胚芽抽出液内に存在することを示している。従って、各転写因子を精製するためにタグペプチドを付加したタンパク質発現系を新たに構築した。また、転写制御領域結合タンパク質のコントロールとして、大腸菌発現系での発現・精製により機能解析が可能という報告が複数あるGAMybタンパク質について、発現・精製の系を構築した。 CYP703タンパク質の再構成系の構築に関しては、足場となるナノディスクをmembrane scafold protein (MSP)とダイズリン脂質(アゾレクチン)より新たに調製するところまで実験を進めた。酵素解析に必要な、cytochrome P450 reductase (CPR)については、シロイヌナズナの遺伝子をクローニング完了しており、タンパク質発現を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
担当する学生は大学院進学したものの、新型コロナウイルスの埼玉県内蔓延の影響を受けて、2月以降の通学の自粛から実験の実施が実質的に困難となり、ゲルモビリティーアッセイの系の構築が未完了のまま、計画半ばで年度が終了してしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、初年度に完了できなかった転写因子あるいは転写因子候補のタンパク質を用いたゲルモビリティーアッセイの系をGAMybを用いて構築し、続いて、本課題で対象とするMYB80ホモログ、TDR, EAT1, bHLH142の各タンパク質のDNA結合試験を同様に実施する。並行して、これまで推測でしかなかったCYP703タンパク質の酵素機能解析を進め、花粉殻の構成物の生合成に働く酵素機能を生化学的に明らかにする。具体的には初年度に調製したナノディスクの共存下でCYP703およびcytochrome P450 reductase (CPR)を無細胞翻訳系により共発現し、酵素アッセイを実施する予定である。
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Causes of Carryover |
分担者は、年度末に計画していた実験があったが、新型コロナウイルスの感染拡大のため、2月中には、計画を変更することを余儀なくされた。繰越の手続きは終了しており、未使用額は2020年度にこの実験に使用する予定である。
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