2021 Fiscal Year Annual Research Report
Study on molecular regulatory mechanisms in thermo-sensitive male sterility of rice based on cell-free translation system
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19K05822
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
戸澤 譲 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (90363267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川岸 万紀子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (50355707)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 転写因子 / イネ / Oryza sativa / 雄性不稔 |
Outline of Annual Research Achievements |
転写因子タンパク質の機能を明らかにするためには、一般的に該当するタンパク質をコードする遺伝子の欠損個体を作成し、この遺伝子欠損変異株と野生株の転写物の比較解析を進めるとともに、転写因子のDNA結合領域の特定DNAシス配列への結合能を指標とした生化学的解析データを得る必要がある場合が多い。一方、転写因子にはDNA結合領域の他にも他の因子との相互作用に必要なタンパク質領域も存在するため、他の因子との関係性を正確に理解するためには、各転写因子の全長タンパク質を用いた生化学的な解析が可能となることがより望ましい。大腸菌によるタンパク質調製系は、この目的には不向きなケースが多く、実際には全長タンパク質を利用した転写因子解析は技術的に極めて困難な状況にある。 本研究では、イネ(Oryza sativa NIPPOBARE)が高温条件下で雄性不稔を引き起こす際に鍵となることが予想されてきた転写因子OsMyb80およびその関連因子を材料として、近縁のコムギの無細胞翻訳系を利用した全長転写因子タンパク質の合成および精製系を確立し、タンパク質レベルでの全長型の転写因子の機能解析系の構築を進めてきた。その結果、OsMyb80のみならず、GAMYBやTDRなどの転写因子タンパク質を可溶化状態で精製することに成功し、Myb様領域を有する転写因子については、ゲルシフトアッセイにより特定のシス配列を含むDNA断片との特異的結合能が確認できた。さらに、OsMyb80欠損株において野生株と比較して転写量が顕著に低下した遺伝子5種について、その転写調節領域と推定されるDNA配列にOsMyb80が結合することを確認でき、OsMyb80の結合シス配列を絞り込むことに成功した。今後はこの完全長転写因子タンパク質の調整によるインビトロ機能解析系の汎用性についてヒトの転写因子も視野に解析を進めてゆく予定である。
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