2021 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of yeast TRPY1 channel which convert physical stimulations into biochemical signals.
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19K05823
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浜本 晋 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (10533812)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イオンチャネル / 出芽酵母 / 液胞 / Ca2+ / 浸透圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
①TRPチャネルは、様々な環境変化に応答するセンサーとしての役割が知られている。出芽酵母の液胞膜に発現するTRPチャネルであるTRPY1は、高浸透圧に応答して液胞から細胞質にCa2+を放出することが知られているが、細胞外で生じた浸透圧変化の感知とその後のTRPY1へのシグナル伝達の分子機構は未だ不明である。本研究では、TRPY1による高浸透圧応答に関わる制御因子の同定を目的に網羅的な解析を行った。Ca2+の発光検出を行うために、イクオリン遺伝子を出芽酵母の一遺伝子破壊株コレクション5100株に導入して高浸透圧ストレスに応答しない遺伝子破壊株の探索を行った。その結果、45株において著しい高浸透圧ストレス応答の低下が観察された。さらに、45株において破壊されている遺伝子を野生株よりクローニングし、出芽酵母に過剰発現させたところ、7つの遺伝子発現株において野生株よりも高い高浸透圧応答活性が示された。 ②オルガネラ膜局在性イオンチャネルの機能解析方法が限られているため、研究代表者は、出芽酵母の液胞膜を発現系とするパッチクランプ法を開発し、幾つかのオルガネラ膜局在性イオンチャネルの機能解析を行い報告した。より多くのオルガネラ膜局在性イオンチャネルの出芽酵母液胞膜への発現をめざし、シグナル配列の改良などを行い液胞膜への発現効率の向上を試みた。光合成の制御に関わっていながらもその機能が明らかになっていない幾つかのイオン輸送体のC末端に緑色蛍光タンパク質(mGFP)を結合させて出芽酵母に発現させたところ、いずれも出芽酵母の小胞体(ER)に発現した。次に、出芽酵母の液胞膜への発現が知られているXタンパク質のC末端領域の18残基(X18タグ)を各輸送遺伝子に結合させた融合遺伝子を導入したところ、ラン藻チラコイド膜局在性のY輸送体の出芽酵母の液胞膜への発現が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①出芽酵母一遺伝子破壊株コレクションを用いたスクリーニングにおいて、遺伝子破壊株に発現しているTRPY1の液胞膜局在性に異常が生じていることが示唆された。高浸透圧応答活性が低下した株にTRPY1:mGFP遺伝子を導入してTRPY1の局在解析を行い、局在に異常が見られた遺伝子破壊株は候補から除外した。高浸透圧ストレス後に液胞が断片化することや断片化された液胞中のCa2+濃度が通常よりも低いことが報告されているため、液胞が断片化している遺伝子破壊株も除外することとした。現在、7株が候補株として得られているが、データベース上の機能からTRPY1との機能的な関連性は見出されていない。これら7つの候補因子とTRPY1の相互作用の検討を目的に、TRPY1のN末端とC末端の細胞質領域のタンパク質発現をpET発現系を用いて行ったが、封入体が形成されてしまった。次に、pCold発現系を用いたところ可溶性画分への発現が確認された。 ②これまでの研究において、出芽酵母の液胞膜に機能的に発現したオルガネラ膜局在性イオンチャネルの多くはN末端にLeu残基が二つ連続するdi-leucineモチーフ(XLL、Xは多くの場合Pro)を保存していた。また、本モチーフはER exitシグナルとしての機能が動物細胞にて報告されている。しかし、液胞膜に発現しなかったオルガネラ膜局在性イオンチャネルのN末端にdi-leucineモチーフを付与しても液胞膜への発現は見られなかったため、di-leucineモチーフの付与のみでは条件を満たさないことが示された。次に、出芽酵母の液胞膜に局在性を示すXタンパク質由来のX18タグの付与により、Y輸送体の出芽酵母の液胞膜への局在化が確認されたが、多くのオルガネラ膜イオンチャネルではX18タグの付与では酵母液胞膜への局在化は観察されなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
①高浸透圧応答活性の上昇が見られた7つの候補遺伝子について、過剰発現株もしくは遺伝子破壊株を用いてパッチクランプ法による電気生理学的解析を行い、TRPY1チャネルの活性化もしくはコンダクタンスに変化が見られるか検討する。さらに、7つの候補遺伝子の遺伝子産物を大腸菌を用いて発現精製を行い、TRPY1のN末端領域とC末端領域との相互作用を検討する。相互作用は免疫沈降法による生化学的手法と蛍光タンパク質を用いて出芽酵母の細胞内における相互作用を共焦点顕微鏡を使用して光学的に検出する方法を用いて検討する。 ②出芽酵母の液胞膜に発現しなかったオルガネラ膜局在性イオンチャネルは、いずれも出芽酵母のERへの発現は確認されているため、これらのタンパク質はいずれもER膜への挿入は行われていることが推察される。このことから、ER膜からの小胞輸送が障害になっていることが予想されるため、これまでに検討を行ったdi-leucineモチーフ以外のER exitシグナルをオルガネラ膜局在性イオンチャネルに付与し、液胞膜への発現効率が上昇するか検討する。本実験では、diacidicモチーフ(DXE)、diaromaticモチーフ(FF、YY)を各イオンチャネルのN末端もしくはC末端へ付与し、局在性を検討する。
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Causes of Carryover |
TRPY1のN末端とC末端の細胞質に露出した領域と7つの候補タンパク質との相互作用解析を行う。さらに、相互作用が見られた候補タンパク質の有無によりTRPY1のチャネル活性に変化が生じるか次年度に検討する。さらに、パッチクランプ法によりTRPY1のチャネル活性への影響を検討する。 ER exitシグナルの付与により、オルガネラ膜局在性イオンチャネルがERから出芽酵母液胞膜に移行するか次年度に検討する。 以上を行うため、2021年度に購入を予定していた遺伝子工学試薬、生化学試薬、培地、消耗品を次年度に購入することとした。さらに、遺伝子破壊株を用いた電気生理学的解析を行うために、電気生理学的実験用の消耗品であるガラス器具、プラスチック器具、電子部品を購入する。電気生理学的実験に用いる巨大化酵母の調製などに必要となる培地試薬、化学薬品、酵素試薬などの消耗品を購入する。遺伝子破壊株の作成、遺伝子発現量の確認のための遺伝子工学試薬を購入する。成果発表となる国際誌への論文投稿をめざし、英文校正代と投稿料を必要とする。国内の学会と国外の学会に積極的に参加し、本研究の成果を発表するために出張経費が必要となる。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Current Methods to Unravel the Functional Properties of Lysosomal Ion Channels and Transporters.2022
Author(s)
Margherita Festa, Velia Minicozzi, Anna Boccaccio, Laura Lagostena, Antonella Gradogna, Tianwen Qi, Alex Costa, Nina Larisch, Shin Hamamoto, Emanuela Pedrazzini, Stefan Milenkovic, Joachim Scholz-Starke, Matteo Ceccarelli, Alessandro Vitale, Petra Dietrich, Nobuyuki Uozumi, Franco Gambale, Armando Carpaneto
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Journal Title
Cells.
Volume: 6
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research