2019 Fiscal Year Research-status Report
糖資化性改変大腸菌を用いた新規酵素特化型スクリーニング
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19K05824
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中井 博之 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (00400002)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 酵素 / 糖 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内糖質代謝に関与する糖質加リン酸分解酵素(ホスホリラーゼ)による糖質合成収率は極めて高く、産業上有用な酵素になり得る。しかしながら、既知のホスホリラーゼは他の糖質関連酵素に比べて報告例が少なく、今後生産可能な糖質のバリエーション拡大には新たな反応特異性を示すホスホリラーゼの発見が必須である。近年ゲノム全塩基配列の解読を目標としたゲノムプロジェクトが様々な生物種を対象に実施されており、今後新規なホスホリラーゼの発見の可能性は極めて高い。本研究では、バイオインフォマティクス手法及びメタゲノミクス解析を駆使することにより、生体内糖質代謝を理解する上で生物学的意義から学術的に重要な新規ホスホリラーゼの網羅的探索を行い、得られた新規酵素が触媒する加リン酸分解反応時の基質特異性およびオリゴ糖合成反応時の糖受容体特異性の解明を通して、オリゴ糖ライブラリー構築を試みる。 本年度は、糖資化性改変大腸菌を用いたメタゲノムからの新規ホスホリラーゼスクリーニング手法の最適化を行った。さらに、複数の環境中から回収したメタゲノムを制限酵素処理により断片化し、大腸菌発現用ベクターに組み込むことでメタゲノムライブラリーを作製した。現在、メタゲノムライブラリーを導入した改変大腸菌を用いて、新規ホスホリラーゼを探索中である。また、機能未知ホスホリラーゼ遺伝子を有する生物種のゲノムDNAから目的遺伝子をPCR法により単離し、大腸菌による各種組換え酵素の異種宿主発現系を確立した後、本発現系を用いて調製した組換え酵素の機能解析を行った結果、これまで報告例のない新規なホスホリラーゼを発見することが出来た。また、得られた新規酵ホスホリラーゼが触媒するオリゴ糖合成反応を用いて、複数の新規オリゴ糖の合成にも成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バイオインフォマティクス手法及びメタゲノミクス解析を活用したホスホリラーゼの網羅的探索により、新規酵素を発見できており、オリゴ糖ライブラリーの拡充も達成されていることから、今後の研究進展が大いに期待される。メタゲノムをスクリーニング源とした探索についても、順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、新規ホスホリラーゼスクリーングを実施し、得られた新規ホスホリラーゼに対して生化学的手法による機能解析およびX線構造解析を行うことで、当該酵素の構造と機能の相関解明に取り組む。
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