2019 Fiscal Year Research-status Report
GH30 β-1,6-グルコシダーゼの構造機能解析と有用糖質合成への応用
Project/Area Number |
19K05826
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
磯野 直人 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (70378321)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝崎 裕隆 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (10262990)
三宅 英雄 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (50362364)
梅川 碧里 三重大学, 生物資源学研究科, 助教 (60633097)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | GH30 / β-グルコシダーゼ / グライコシンターゼ / ゲンチオビオース |
Outline of Annual Research Achievements |
Halobacillus halophilus由来のGH30酵素(HhGH30A)を用いた縮合反応により二糖の合成を行った。縮合反応の最適反応pHは6.0、最適反応温度は60 °Cであった。グルコースとマンノースを基質とした反応を行ったところ、ゲンチオビオースのほかにヘテロ二糖が合成された。活性炭クロマトグラフィーで精製して構造解析を行ったところ、ヘテロ二糖は6-O-β-D-グルコピラノシル-D-マンノースであることが明らかとなった。 HhGH30Aのグライコシンターゼを作製した。HhGH30Aの酸塩基触媒残基はE215、求核触媒残基はE313であると予測した。変異型酵素E313Gは各種基質に対する加水分解活性を失った。一方、求核触媒試薬であるギ酸塩の存在下では活性が回復した。ドナー基質であるα-グルコシルフルオリドとアクセプター基質であるグルコースに対して変異型酵素E313Gを作用させたところ、ゲンチオビオースが特異的に合成された。このように、E313Gはグライコシンターゼとして機能することが確認された。 HhGH30Aの結晶化を行うにあたり、酵素の安定性を評価した。精製したHhGH30A (57 kDa)を長期間保存すると、N末側のどこかの部位が切断されて質量が52 kDaとなった。分解により酵素活性値は変化しないため、このN末領域は触媒反応には関与しないと思われた。一方、構造の一部が分解されやすいという本酵素の性質は、良質な結晶の生成を妨げる可能性が考えられた。現在、切断部位の特定を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
縮合反応による新規糖質の合成や、グライコシンターゼの作製を達成できているため、おおむね順調に研究が進展していると判断している。
|
Strategy for Future Research Activity |
ゲンチオビオースの効率的製造を行うために、HhGH30Aを固定化したカラムと活性炭カラムを連結したゲンチオビオース合成装置を作製し、その能力を検証する。また、グライコシンターゼの反応特性解析や、グライコシンターゼ反応によるゲンチオビオース以外のオリゴ糖等の合成を行う。HhGH30Aの切断を抑制する条件、あるいは長期間保存中におけるHhGH30Aの切断部位を決定する。これらの情報を参考にしながら、HhGH30Aの結晶化を試みる。HhGH30Aの結晶化の進行が不調な場合に備えて、Halobacillus halophilusのもう一つのGH30酵素であるHhGH30Bの組換え酵素作製と機能解析にも取り組む。
|
Causes of Carryover |
(理由)縮合反応産物の精製に分取HPLC用のカラムの購入を計画していたが、反応条件を検討した結果、安価な活性炭カラムで精製することが可能となった。また、グライコシンターゼ反応では、当初予定したよりも小さなスケールで分析を行ったため、基質となる高価な試薬を購入せずに実験をすることができた。新型コロナウイルスの影響で、情報収集のための参加を計画していた学会が中止となったほか、海外から注文中の物品が年内に納品されなかった。 (使用計画)薬品・プラスチック器具などの消耗品を購入する。また、学内機器使用料や学会への出張旅費として使用する予定である。ただし、新型コロナウイルスの影響で研究活動が制限される場合は、次年度以降の活動のために助成金の使用を抑える可能性がある。
|