2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K05834
|
Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
大沼 貴之 近畿大学, 農学部, 教授 (60446482)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | キシラナーゼ / 阻害タンパク質 / 植物病原菌 / イネ / キチナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究から、riceXIPはRXyn1(GH10)およびRXyn2(GH11)に対して阻害活性を示するデュアルキシラナーゼインヒビターであることを明らかにしている。2021年度は等温滴定型熱量計(ITC)を用いて、riceXIPと各キシラナーゼの相互作用解析を行った。その結果RXyn1の滴定実験においては吸熱反応が認められたものの、その熱量は微弱であったことから熱力学的パラメーターを決定することはできなかった。一方RXyn2の滴定実験では結合に伴う発熱反応が観測され、両者の解離定数はマイクロモーラー(μM)オーダーであること、エンタルピー変化とエントロピー変化が共に結合に寄与することが示された。また、シングルキシラナーゼインヒビターであるOsXIPのRXyn2に対するKi値およびKd値との比較から、OsXIPの方がより強い阻害活性を示すことがわかった。蒸気拡散法によりOsXIP/RXyn2複合体の結晶を作製することに成功したことから、X線結晶構造解析により立体構造を決定した。OsXIPの立体構造をイネGH18キチナーゼであるOschib2の構造と比較したところ、Oschib2の分子表面には長い基質結合クレフトが形成されているが、OsXIPの同部位の構造はアミノ酸の置換により埋もれており、フラットな構造であることがわかった。また、OsXIP とRXyn2との接触境界面にはOschib2にはなく、OsXIPのみに存在するループ構造があり、このループがRXyn2の基質結合クレフトに入り込み、さらにRXyn2の活性中心であるGlu93およびGlu184とループ構造上のArg155がイオン結合を形成していることがわかった。この結合が両者の二量体形成およびOsXIPによるRXyn2の阻害に重要な役割を果たしていることが示唆された。
|