2020 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質工学的応用を目指したエンカプスリンナノ粒子の構造生物学的研究
Project/Area Number |
19K05835
|
Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
平 大輔 崇城大学, 生物生命学部, 准教授 (00569890)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | エンカプスリン / ナノ粒子 / タンパク質発現系 |
Outline of Annual Research Achievements |
エンカプスリンは細菌および古細菌でみられる細胞内構造体であり、タンパク質分子が自己集合して形成されるタンパク質ナノ粒子である。また、粒子内部に特異的に別のタンパク質(荷物タンパク質)を内包する性質を有している。そこで本申請課題では、生化学的・構造生物学的研究によってエンカプスリンナノ粒子のタンパク質工学応用への基盤を構築することを目的とした。 当該年度においては、①エンカプスリンナノ粒子の立体構造解明、および②エンカプスリンによる毒性タンパク質の発現、に関する検討を進めた。まず①に関しては、前年度にクライオ電子顕微鏡測定によって観測した粒子像より計算した電子密度マップを用いて、エンカプスリン粒子の立体構造モデルを構築することができた。この結果、エンカプスリン粒子の形成につながると推定される、複数の特徴的な分子間相互作用を確認することができた。また、②については、前年度に構築済みであった、エンカプスリンに任意の荷物タンパク質を内包させる大腸菌発現系を用いることで、ある種のリパーゼやペプチダーゼ等、大腸菌に対して毒性を有する遺伝子の発現を試みた。その結果、リパーゼについて、エンカプスリンへと内包することで、大腸菌内で大量発現することが可能となることが示された。即ち、エンカプスリンへと内包することで、その毒性を緩和した発現が可能であることが示唆された。この結果をもとに、他の生物工学的に有用な難発現性タンパク質を内包発現させる系の構築を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的として、(1)エンカプスリンナノ粒子の立体構造解明、(2)エンカプスリンの荷物タンパク質内包性の制御法確立、(3)エンカプスリンのタンパク質発現用カプセルとしての応用、の三つを挙げている。これら各項目について、当初の計画をほぼ達成したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
上述した当該年度までに得られた成果をもとに、(3)エンカプスリンのタンパク質発現用カプセルとしての応用について、エンカプスリン粒子内から効率的に回収する手法を確立したい。
|
Research Products
(2 results)