2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a novel antibacterial agent aiming at reducing the emergence of new drug-resistant bacteria
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19K05837
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
榎本 賢 東北大学, 農学研究科, 准教授 (90546342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米山 裕 東北大学, 農学研究科, 教授 (10220774)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ドラッグデリバリー / monensin / 黄色ブドウ球菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
薬剤耐性菌発生の主要因として抗生物質の過剰使用が挙げられる。抗生物質の使用対象でもっとも多いのはヒトではなく家畜であり,その用途は治療目的のみにとどまらず,健康な家畜の生育促進を目的とした飼料添加にまで及ぶ。これにより,畜産現場では抗生物質が過剰に使用され,薬剤耐性菌発生の温床になっている。飼料添加剤としてもっとも汎用される抗生物質の1つがmonensinである。このものを特定の病原菌に特異的に輸送することができれば,他の菌に対する選択圧を下げることができるので,薬剤耐性菌発生リスクの低減が期待できる。そこで本研究では,家畜感染症起因菌としてもっとも代表的な黄色ブドウ球菌に特異的なペプチドをmonensinと連結することで,薬剤耐性菌出現リスクの低い新規抗菌剤の開発を目指した。 昨年度,第1世代の黄色ブドウ球菌認識ペプチドを使用してmonensinを修飾し,抗菌活性試験を実施したが,合成した化合物の抗菌活性はmonensinそのものと比較して低下していた。この原因が26位の官能基の修飾方法にあると考え,既知の構造活性相関を参考に26位をヒドロキシ基からフェニルカーバメートへと変更したところ,monensinよりも8倍抗菌活性が強化されることを見出していた。そこで最終年度は,共同研究者の米山とともに第2世代の認識ペプチドの探索を実施し,牛乳房炎の原因菌であるS. aureusSA5に対して高い吸着能を有するペプチドを見出した。このものはC末端側を修飾しても吸着能が低下しないことを確認済みである。今後は,上述のmonensinフェニルカーバメート誘導体を第2世代ペプチドと連結することで,目的とする高特異的な抗菌剤の創成を実現する。 また,本コンセプトへの応用を念頭に入れ,rossinone A等のいくつかの生物活性天然物の合成研究も進めた。
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