2019 Fiscal Year Research-status Report
天然分子の骨格変換を基盤とした多置換テトラヒドロフラン環の新規合成法の開発
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19K05839
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森 直紀 東北大学, 理学研究科, 講師 (60463882)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | テトラヒドロフラン環 / セサミン / Baeyer-Villiger転位 / zanthplanispine / 脱水素反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
テトラヒドロフラン環はリグナン、アセトゲニンを始めとする数多くの天然有機化合物中に見られる基本構造であるため、多置換テトラヒドロフラン環の立体制御合成は有機合成における重要な課題である。本研究では二つのテトラヒドロフラン環が縮環した天然由来のフロフランリグナンを合成素子として利用し、べンジル位の反応性を活用することで様々な置換形式のテトラヒドロフラン環を立体選択的に合成する新手法を開発することを目的としている。 天然に豊富なフロフランリグナンであるセサミンを合成素子として利用することとし、まず市販のゴマ油200gからシリカゲルカラムクロマトグラフィーと再結晶操作によりセサミン1gを精製した。得られたセサミンを用いてベンジル位における転位基の選択性を制御したBaeyer-Villiger型の転位反応による、テトラヒドロフラン環上への立体選択的な酸素官能基の導入を検討した。2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノンを用いてセサミンのベンジル位を酸化しつつ過酸を作用させたところ、メタクロロ過安息香酸と過酸化水素尿素においては、脱アリール化されたラクトンが主生成物として得られてきた。一方、過酸としてtert-ブチルヒドロペルオキシドを作用させるとベンジル位に過酸が付加した化合物が得られることがわかった。今後は種々のルイス酸を用いてBaeyer-Villiger型の転位反応を検討し、本反応を利用してネオリグナンであるzanthplanispineの合成へと応用していきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
過酸を用いる反応の収率が低いため、十分量の基質が得られていない。 本年度途中で職場の異動が発生したため、実験を中断しなければならない期間があった。
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Strategy for Future Research Activity |
種々のルイス酸を用いてBaeyer-Villiger型の転位反応を検討し、テトラヒドロフラン環上への立体選択的な酸素官能基の導入を行う。 転位反応が進行しなかった場合には、ベンジル位における脱水素反応により二重結合を導入後、酸化的開裂により酸素官能基を導入する。
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Causes of Carryover |
本年度途中で職場の異動があったため、予定より使用額が少なかった。本年度は試薬、ガラス器具、旅費に予算を充てる予定である。
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