2019 Fiscal Year Research-status Report
Synthetic studies on non-canonical strigolactones
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19K05840
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
滝川 浩郷 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (40271332)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 非典型的ストリゴラクトン / カーラクトン酸 / カーラクトン酸メチル / ヘリオラクトン / ゼアピラノラクトン |
Outline of Annual Research Achievements |
ストリゴラクトン(SL)は根寄生雑草の種子発芽刺激物質として単離された化合物群の総称である。今日、典型的SLと呼ばれるようになった古くから知られてきたSL類は3環性ラクトン部(ABC環部)とD環部からなる基本骨格を有しているが、近年その存在が認識されるようになった非典型的SLはBC環を持たない構造的特徴を有している。非典型的SLとして認知されている天然物群は、SL生合成上の重要中間体と認識されているカーラクトン、カーラクトン酸に加え、ヘリオラクトン、アベナオールなどが挙げられる。有機合成化学的視点から見れば、典型的SL類の合成法は概ね確立されているが、非典型的SL類の合成は未開拓と言えるため、本研究では非典型的SL類の網羅的合成を究極的目標に設定し、それらの化学合成に取り組んでいる。なお、典型的SLのBC環形成機構には不明な点が数多残されているため、SL生合成経路の全貌解明に資することも意識している。 独自に開発したクネーフェナーゲル縮合を鍵反応とするカーラクトン酸エステルの短工程合成法の改善に取り組んだ。この方法論を利用し、カーラクトン酸およびカーラクトン酸メチルを効率的に化学合成した。なおこれらのサンプルは、研究協力関係にある神戸大学杉本教授に提供され、各種試験に用いられている。また、この独自の方法論を基盤として、ヒマワリから単離された非典型的SLであるヘリオラクトン(ラセミ・ジアステレオマー混合物)の合成した。ラセミ・ジアステレオマー混合物の合成ではあるものの、簡便かつ短工程での合成を達成した。トウモロコシより単離された非典型的SLであるゼアピラノラクトンと18-位が酸化されたカーラクトン酸エステル類の合成研究が進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
独自に開発したカーラクトン酸エステルの短工程合成法によって化学合成したカーラクトン酸およびカーラクトン酸メチルを用いた研究が、提供先で順調に進行している。また、当初、合成標的分子として位置付けて天然非典型的SLの一つであるヘリオラクトンの合成を達成できた。 なお、本研究の基盤となる独自のカーラクトン酸エステル合成法は、研究開始時と比較して、総収率で2倍以上に効率化されたため、この方法論の活用がさらに期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、ゼアピラノラクトンと18-位が酸化されたカーラクトン酸エステル類の合成研究が進行中である。 前者は、基本骨格の構築に目途が立ちつつあり、全合成の達成も視野に入ってきているので、その早期実現を目指す。なお、現在取り組んでいるのはラセミ体合成であるが、光学活性体合成を可能にする方策を併せて検討する予定である。後者は、生合成上の中間体と想定されている化合物の構造を想定しており、それらの合成化学的供給は、未解明である典型的SLに至るBC環形成機能解明に資するものと期待する。
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Research Products
(5 results)