2020 Fiscal Year Research-status Report
LPS内部コア糖鎖の収斂合成法の開発および殺菌性ヒト抗体の認識部位の解明
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19K05845
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
一柳 剛 鳥取大学, 農学部, 教授 (00302240)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リポ多糖 / コア糖鎖 / Kdo / Heptose / 糖鎖合成 / 立体選択的合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,リポ多糖、リポオリゴ糖の構造普遍領域糖鎖(コア糖鎖)の精密化学合成の手法を基盤に,KdoおよびL-グリセローD-マンノヘプトース(Hep)からなる糖鎖ライブラリを作成し,殺菌性抗体産生に必要な最小構造を解明しワクチン開発に向けた基礎構築を目指している。このうち①連続分岐構造を有するコアオリゴ糖鎖の化学合成法の確立,②コア糖鎖-磁気粒子コンジュゲートを使用したヒト抗体の選抜③選抜したヒト抗体の殺菌性の検証とエピトープの解析に焦点を当てて取り組むことにしている。このうち、本年度は①②についてに取り組んだ。 ① 連続2分岐構造を持つナイセリア属LOSのコア7糖の化学全合成を初めて達成した。今回、Hepの2位水酸基に嵩高い保護基、もしくは糖鎖が結合した糖供与体を使用する場合、α選択性が低下することを明らかにした。従って、3,4分岐Hep構造の構築では、4-O-置換Hep受容体の3位水酸基へはHep単糖を導入後、さらに糖鎖伸長を行うことが望ましいことが分かった。また、4-O-置換Kdoの5位水酸基へのオリゴ糖の導入は、直鎖だけでなく分岐オリゴ糖供与体でも可能であることを明らかにした。本合成方法を発展させ、Haemophilus属LPSの中性コア三糖および酸性コア二糖、四糖合成を達成した。 ②昨年度に引き続き糖鎖ー磁気粒子コンジュゲートの作成を行った。本年度は分岐3糖および4糖を使用して磁気粒子コンジュゲートを作成したのち、これらを使用して市販のヒトIgG, IgMから選抜を行った。その結果10 mgのIgGから3~4μg, 1 mgのIgMから3μgの糖鎖認識抗体を得ることが出来た。また合成糖鎖のリポソーム化に向け、脂質コンジュゲート合成に取り組んだ。合成糖鎖の還元末端のアリル基を還元アミノ化ではKdoのC1カルボキシル基との分子内環化が優先して進行する問題が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画時の3つの達成目標のうち、①の連続分岐構造を有するコアオリゴ糖鎖の化学合成法を確立し、標的とした7糖合成を達成した。この手法を使用しNeisseria属、Haemophilus属、Salmonella属LPS/LOSの部分コア糖鎖ライブラリー作成を達成した。②コア糖鎖-磁気粒子コンジュゲートを使用したヒト抗体の選抜に取り組みでは、分岐糖鎖による磁気粒子コンジュゲートの作成を実施し、合成糖鎖に結合するIgG, IgMの選抜を確認した。また、選抜実験の再現性についても確認できた。 また、構成糖であるKdo, Hepのスケールアップ合成を計画に沿って実施し、Hepは10g単位での合成を完了し、2-4結合したKdo2糖のg合成を終えた。
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Strategy for Future Research Activity |
部分コア糖鎖ライブラリー作成を実施する。Neisseria属LOSの部分コア糖鎖を中心にHaemophilus, Pantoea, Echerichia属LPSの部分糖鎖のmg単位での合成を行う。合成済みの糖鎖のうち一部はキャリアタンパクとの縮合を行い、合成条件の最適化を実施する。また、蛍光プローブとの縮合による標識化を実施する。選抜したヒト抗体について、殺菌能力を評価するためのプロトコル確立を実施する。
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Research Products
(9 results)