2022 Fiscal Year Annual Research Report
超希少放線菌群における二次代謝能の全容解明を通じた新規創薬資源の開拓
Project/Area Number |
19K05848
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
五十嵐 康弘 富山県立大学, 工学部, 教授 (20285159)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 希少放線菌 / 二次代謝物 / 生理活性物質 / 多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、いずれも新規化合物報告のない希少放線菌Asanoa属からtetracenomycin類縁体、Allokutzneria属からグアニジノ末端を有する鎖状ポリケチド、Acrocarpospora属から塩素化インドール誘導体を新規化合物として単離、構造決定した。 本研究では二次代謝生合成遺伝子の分布が属レベルで異なることを予測し、これまでに化合物報告がない、あるいは報告が数例しかなされていない放線菌属における物質生産を網羅的に調査した。その結果、合計11属(Acrocarpospora, Actinocorallia, Actinomycetospora, Allokutzneria, Asanoa, Catellatospora, Couchioplanes, Krasilnikovia, Phytohabitans, Polymorphospora, Pseudosporangium)から40種以上の新規生理活性物質を見出すことに成功した。得られた化合物は、抗菌活性、抗寄生虫活性、植物生長促進活性など多様な生理活性を示した。またPhytohabitans属については、種間で二次代謝パターンが異なり、生合成遺伝子が種特異的に分布することを明らかにした。 以上の結果は、希少放線菌では二次代謝生合成遺伝子が属レベルで異なり、新規性の高い化合物を得るためには、化合物報告のない未研究属を探索源に選択することが、より効率的な新規化合物の取得につながることを示唆している。新薬探索では多様性の高い化合物ライブラリーを作成し、供給することが重要である。本研究で得られた知見は、質の高い化合物ライブラリーを構築する上で有益であり、そのためには分離頻度の低い未研究属を分離する手法の確立やさらなる新属探索をより一層推進する必要性を示唆するものである。
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