2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K05856
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Research Institution | Suntory Foundation for Life Sciences |
Principal Investigator |
村田 純 公益財団法人サントリー生命科学財団, 生物有機科学研究所・統合生体分子機能研究部, 主席研究員 (90500794)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 根分泌物 / 根圏環境適応 / 生理活性因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
シロイヌナズナは枯草菌との共培養時に生長抑制を受けるが、根分泌物を介した個体間相互作用により生長抑制度合いを低減していることを見出した。我々はこのとき機能する鍵分子をResilience-Inducing Factor (RIF)と名付け、RIFの精製・同定を試みた。まず枯草菌と共培養したシロイヌナズナ根組織から得られたメタノール抽出物をあらかじめ塗布した寒天培地にシロイヌナズナを播種し、枯草菌と共培養後のシロイヌナズナの生育度合を評価するアッセイ系を構築した。次いで根抽出物をイオン交換およびODSにより多段階分画し、バイオアッセイに供した結果、RIF活性を示す画分を得た。しかし詳細な構造情報の取得に十分な量を確保できなかった。そこで実験スケールを10倍大きくし、枯草菌と共培養した植物個体 約20,000個体の根組織を分画(イオン交換→ODS→Cholester)して、バイオアッセイによる活性評価を行った。その結果活性画分を4つ得たため、RIFが複数あることが示唆された。それぞれの活性画分をLC-MSにより分析した結果、分子量400弱から900弱の複数のRIF候補化合物を見出した。しかしそれらの候補化合物はいずれもナトリウム付加体[M + Na]+として検出されたため詳細なms/ms情報を得ることが困難で、化合物同定には至らなかった。一方、同活性画分をGC-MS分析に供した結果、いずれも分子量400以下の、活性と呼応する候補化合物のピーク複数を得た。化合物の標品を入手し、活性画分中の化合物ピークと照合した結果、保持時間および断片化イオンのパターンが一致する化合物2つを見出した。今後、さらに詳細な解析を進め、シロイヌナズナ個体間相互作用機構の全体像を明らかにしていく。
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