2020 Fiscal Year Research-status Report
Phisiological Function of Lignans in Plants
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19K05857
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Research Institution | Suntory Foundation for Life Sciences |
Principal Investigator |
堀川 学 公益財団法人サントリー生命科学財団, 生物有機科学研究所・構造生命科学研究部, 研究員 (70270569)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | セサミン酸化酵素 / オイルボディ / 脂質代謝 / RNA-seq / オイルボディ構成タンパク質 / ゴマリグナン / セサミノール / エピセサミノン |
Outline of Annual Research Achievements |
1.代謝酵素の同定と機能解析 1-1.発芽後のリグナン類のプロファイルと酸化酵素の同定:セサミンからセサミノール及びエピセサミノンを生成する酸化酵素を同定するため、発芽時の経時的なゴマリグナンプロファイルを参考にRNA-seqデータ解析を行い、発芽初期(1,2日目)に発現量が高く、後半(4,5日目)に発現量が低くなっているCYP遺伝子に絞り込み、得られた候補遺伝子5種について酵母細胞への異種発現を行い、基質であるセサミンの酸化活性を検討した結果、相同性の高い2種のセサミン代謝酵素を見出した。また、それらは染色体上で並んだ位置に存在し、更にもう一つ相同性の高いCYP遺伝子が存在していることを確認したので、本遺伝子についても異種発現し、セサミン代謝活性を示すことを明らかにした。1-2.発芽後のセサミン代謝酵素阻害剤の開発と機能解析:発芽時のセサミン酸化酵素3種を見出したが、選択的な阻害剤に創出には至っていない。 2.二次代謝物の内因性標的因子の同定と機能解析 2-1.オイルボディを用いたin vitroでのセサミンの脂質代謝阻害の確認:コロナ禍で実験が制限されたため未実施。2-2. セサミン酸化酵素阻害剤のオイルボディへの作用の検証(in vivo):選択的な阻害剤の開発が進んでいないため、既存のCYP阻害剤を用いた発芽・生長実験を行い、一部のCYP阻害剤が発芽時の生長阻害作用を示し、その作用に比例してリグナン類の代謝が阻害されていたが、それ以上の知見が得られなかったので、今後の方針を見直す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
セサミン代謝酵素の同定については、期待通りの成果が得られたが、その酵素の選択的な阻害剤の創出に至っていない。また、選択的阻害剤が見つかっていたとしても、既存のCYP阻害剤と同様に、種子の発芽後の成長阻害作用を示すのみで、それ以上の知見が得られなかった可能性が高い。また、新型コロナの影響でオイルボディの再構成を利用した実験を予定通り進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
発芽時のセサミン代謝酵素を同定し、その選択的阻害剤を用い、セサミンの代謝が種子の発芽後の生長に重要であることを証明しようと考えていたが、阻害剤が植物の他の生理機能に影響を及ぼしている可能性を否定できないことから、ゲノム編集等を用いたリグナン代謝酵素の制御による証明を検討する。 オイルボディの再構成を利用した実験系については、発芽時に作用するリパーゼを特定できていないことから、RNA-seqのデータをもとに特定し実験系を確立し、セサミンとステロレオシンBの存在下で脂質代謝が阻害されることを証明する。また、セサミンがステロレオシンBの分解を阻害する可能性として、プロテアソームやユビキチナーゼ等に対するセサミンによる阻害作用を検証する。
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Research Products
(1 results)