2020 Fiscal Year Research-status Report
Mechanisms underlying enhanced GLP-1 response in diet-induced obesity
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19K05860
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
比良 徹 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (10396301)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | GLP-1 / 食事誘導性肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの研究により、正常なラットでは長期間の肥満誘導食の持続摂取でも食後GLP-1分泌応答は増大すること、そのような適応は遺伝的糖尿病モデルでは生じないことが見出された。 この際に、消化管ではどのような違いがあるのかを調べるため、肥満誘導食を長期間摂取させた正常ラットならびに遺伝的糖尿病モデルラット(Goto-Kakizakiラット)において、栄養素感知に関わる各種遺伝子の発現レベルを定量PCRにより測定した。その結果、正常ラットに比べて遺伝的糖尿病モデルラットの消化管において、脂肪酸受容体の一つの発現レベルが低いことが見出された。このことから、この脂肪酸受容体が、食事誘導性肥満におけるGLP-1分泌応答増大に寄与することが示唆された。 次に、食事誘導性肥満において、どの栄養素に対するGLP-1分泌応答が増大するのかを検討した。 5週齢のSD系雄性ラットを、AIN-93G標準食を与えるControl群と,高脂肪食とスクロース水を与えるHFS群に分け,5週間自由摂食させた。2週後と4週後に栄養素負荷試験を実施し,GLP-1分泌応答を観察した。栄養素負荷試験では,糖質(デキストリン),もしくは脂質(イントラリポス)を経口投与し、投与前および、投与後後120 分まで経時的に採血した。 デキストリンに対するGLP-1応答について,2週後の試験ではControl群に比べてHFS群で低く,4週後ではControl群よりもHFS群で高かった。イントラリポスに対するGLP-1応答は,2週後,4週後ともにControl群よりもHFS群で高い傾向にあった。以上より,高脂肪食+スクロース水の摂取によって,2週間という早い段階で脂質に対するGLP-1応答が高まり,4週間では糖質に対してもGLP-1への応答が高まることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
食事誘導性肥満ラットにおいて、栄養素のなかで、糖質、脂質両者に対するGLP-1分泌応答が高まることが見出された。 一方で、肥満誘導食によるGLP-1分泌増大が見られない遺伝的糖尿病モデルラットにおいて、正常ラットに比べて小腸での脂肪酸受容体の発現が低いことが見出され、この受容体が食事誘導性肥満におけるGLP-1分泌増大に関与することが示唆された。このようにメカニズム解明に向けた成果が得られたことより、おおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
食事誘導性肥満モデルラットにおいて、消化管のどの部位が食後GLP-1分泌応答の増大に寄与するのかを検討する。 前年度に見出された脂肪酸受容体が、食事誘導性肥満におけるGLP-1分泌増大にどのように関与するのかを検討する。
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Research Products
(7 results)