2019 Fiscal Year Research-status Report
腸内細菌叢の制御を介した胎生期低栄養に起因する生活習慣病の予防に関する研究
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19K05862
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| Research Institution | Chiba University |
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Principal Investigator |
平井 静 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 准教授 (90432343)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | 胎生期低栄養 / 糖質制限 / 腸内細菌叢 / 短鎖脂肪酸 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究において我々は、マウスの妊娠期における糖質のみの制限によるエネルギー制限は、たんぱく質を含むすべてのエネルギー源の制限の場合と異なり、次世代において高脂肪食誘導性の肥満および糖代謝不全を改善することを見出している。本年度の研究では、その作用に腸内細菌叢の変化が関与する可能性について検証するため、妊娠期糖質制限を行ったC57BL/6Jマウスの離乳直後の仔の糞便を用いた腸内細菌叢解析（次世代シークエンスによるゲノム解析）および糞中短鎖脂肪酸濃度の解析を行った。
胎生期糖質制限群の仔マウスに高脂肪食を負荷したところ、対照群の仔マウスと比較して、体重増加量および白色脂肪組織重量の減少やインスリン感受性の亢進が見られ、これまでの結果と一致した。一方、高脂肪食負荷前の離乳直後の仔マウスの体重は、対照群と糖質制限群で差が認められなかったにも関わらず、腸内細菌叢のβ多様性が有意に高値を示し、異なるクラスターを形成することが明らかになった。また糖質制限群では、体重減少に伴い増加することが報告されているPrevotella/Bacteroides（P/B）比が有意に上昇していた。さらに腸管バリア機能の増強により肥満の抑制作用を発揮することが知られているAkkermansia属の存在量と高脂肪食負荷後の体重および腎臓周囲脂肪重量に負の相関が見られた。また糞中短鎖脂肪酸量は糖質制限群において増加傾向が認められた。
以上の結果より、妊娠期糖質制限による次世代の肥満・糖代謝改善作用に、腸内細菌叢や短鎖脂肪酸の変化が関与する可能性が示唆された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りに実験を進め、結果を得ることができた。
また次年度の実験に必要なアイソレーターを購入し、準備を進めることもできた。
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| Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果より、マウスの妊娠期糖質制限によって次世代の腸内細菌叢が変化することが示された。この菌叢変化が、まだ体重に差の認められない離乳直後の仔において認められたことから、胎生期糖質制限による肥満・糖代謝改善作用が腸内細菌叢の変化を介して生じている可能性が示唆された。
そこで今後は、この可能性について検証するため、無菌マウスに胎生期糖質制限マウスの腸内細菌叢を移植し、体重変化や糖・脂質代謝への影響を検討するとともに、代謝の改善が認められた場合は、糖・脂質代謝関連遺伝子またはタンパク質発現の測定、組織化学的解析を行い、そのメカニズムについての検討を行う。
胎生期糖質制限による代謝変化が腸内細菌叢の変化によるものであった場合は、胎生期糖質制限マウスに特徴的な優占種（prevotella属など）の増加に関与することが知られている食品（食物繊維など）を、妊娠期総エネルギー制限下で出生した仔マウスに摂取させ、次世代における肥満や糖・脂質代謝の増悪化が改善されるか否かの検証を行う。
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