2019 Fiscal Year Research-status Report
機能性食品素材フコイダンのHTLV-1感染抑制作用機構と腸管吸収
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19K05865
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Research Institution | Okinawa University |
Principal Investigator |
宮良 恵美 沖縄大学, 健康栄養学部, 准教授 (50457686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 卓也 琉球大学, 医学部, 教授 (40336160)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フコイダン / HTLV-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究により、モズク由来フコイダンのHTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルスI型)感染抑制作用が明らかになったため、本研究はその作用機構の解明を目的としている。初年度は、「フコイダンがHTLV-1表在タンパク質と結合することにより、HTLV-1がT細胞へ結合・侵入することを阻害しているのではないか」と仮定して、フコイダンとHTLV-1表在タンパク質との結合性を検討した。検出法として、各物質の特異的抗体(HRP標識)を用いたSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)-ウエスタンブロット法を選択した。この方法は比較的簡便である一方、試料や抗体濃度等、複数の因子が検出感度に影響しており、条件検討を続けているが未だフコイダンとHTLV-1表在タンパク質との結合検出には至っていない。まだ、検討したい条件があるため、引き続き実験を継続する予定である。 上記の検出法を最適化できなかった場合を想定して、①試料であるフコイダンに蛍光標識を行い、②各種リンパ球[健常人末梢血単核球(PBMC)やST-1(HTLV-1感染細胞株)等]と①の蛍光標識フコイダンを混合培養して、フコイダンの局在性(細胞表面に存在するか否か)を蛍光顕微鏡等で確認する計画である。検出の際、さらに③HTLV-1表在タンパク質や細胞側に存在するフコイダン類似物質に対する蛍光標識(フコイダン標識に用いたものとは異なる蛍光)-特異抗体を同時に添加することで、結合する物質の組合せによって異なる色として検出できるのではないかと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
所属機関の異動とともに本研究課題を開始した。異動先にはこれまで理系学部がなかったため、新たに実験器具・試薬を揃えながら、これまで所属していた機関との共同研究も継続する形をとることで研究の推進を図った。しかし、予想よりも実験環境の整備に時間がかかり、研究は当初の計画よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の第一目的である「フコイダンによるHTLV-1感染抑制作用の作用機構解明」については、現在行っているSDS-PAGE-ウエスタンブロット法に加え、研究実績の概要で記述した蛍光顕微鏡による検出法を追加実施予定であるほか、それでも解析が不十分な場合は生細胞の分析に用いられるフローサイトメトリー等、あらゆる方法を利用していきたい。 また、次年度は第二目的としている「フコイダンの腸管吸収の検討」の準備期間に位置づけられることから、腸管細胞の培養や吸収に関与する受容体・輸送因子の分析方法を順次、導入していく予定である。
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Causes of Carryover |
フコイダンによるHTLV-1感染抑制の作用機序検討に遅れがあり、次年度も実験を継続するため、分析に必要な試薬類の購入費用を繰り越した。次年度はフコイダンの腸管吸収の検討準備に入るため、次年度予算は主に当該実験に必要な物品購入に使用する予定である。
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