2020 Fiscal Year Research-status Report
Gタンパク質共役型受容体を介した食品因子の抗2型糖尿病機能に関する研究
Project/Area Number |
19K05866
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
乾 博 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学研究科, 教授 (20193568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 直樹 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (00529141)
乾 隆 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (80352912)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | クルクミン / Gタンパク質共役型受容体 / 食品成分 |
Outline of Annual Research Achievements |
Gタンパク質共役型受容体は、共役するGalphaサブユニットによって活性化時に下流に伝達されるシグナルが異なる。そこで、既に見出しているクルクミン((1E,6E)-1,7-bis(4-hydroxy-3-methoxyphenyl)-1,6-heptadiene-3,5-dione)によるGPR97の活性化について、ルシフェラーゼレポーターアッセイを用いてどの下流シグナルが活性化されるのか検討した。HEK293FT細胞においてクルクミンによるGPR97の活性化により血清応答配列を介した転写の活性化が認められるが、血清応答因子応答配列やcAMP応答配列(CRE)、NFAT応答配列を介した転写については活性化が認められなかった。これらの結果から、クルクミンがGPR97がGiに共役したシグナル伝達を活性化することが判明した。Giの活性化は、アデニル酸シクラーゼの活性化を抑制することで、cAMP/PKA/CREBシグナリングを抑制してCREを介した転写を抑制する。しかし、クルクミンによるGPR97の活性化はフォルスコリンによるCREの活性化については抑制せず、むしろ増強した。これは、GPR97を介したGi活性化による作用よりも、クルクミンがもつホスホジエステラーゼ阻害作用のほうが、CREを介した転写においては強く作用した結果であると考えられた。 クルクミンは、緩衝液中では非常に不安定な化合物であり、酸化分解を受ける。実際に、ルシフェラーゼレポーターアッセイ条件で16%の分解が見られたため、クルクミンの酸化分解産物や酸化分解を受けないクルクミン構造類似体を用いて検討したところ、クルクミン自体がGPR97を活性化すると推測される結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酸化分解産物などではなく、クルクミン自体がGPR97を活性化すると考えられる結果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
クルクミンのGPR97活性化作用がクルクミンの生理作用に関与するかについて、抗炎症作用を中心に検討する。また、エネルギー代謝に関与するGPCRに対する食品因子の作用について引き続き検討を行う。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの影響により、消耗品の納品が年度内に完了せず一部繰越を行った。2021年度に消耗品の購入に使用する。
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Research Products
(2 results)