2022 Fiscal Year Annual Research Report
外的ストレス要因による新規カビ毒産生菌の出現とその分子メカニズムの解明
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19K05870
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| Research Institution | Azabu University |
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Principal Investigator |
小林 直樹 麻布大学, 生命・環境科学部, 准教授 (90447558)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | カビ毒 / ステリグマトシスチン |
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| Outline of Annual Research Achievements |
一部のカビは、二次代謝産物としてヒトや動物に対して有害な物質であるカビ毒を産生する。カビ毒は様々な農作物・食品を汚染しており、世界的に食品衛生上の大きな問題となっている。また、カビ毒を産生する菌種は熱帯地域を好んで生息するものが多いため、本邦においても地球温暖化によるカビ毒汚染の増大が懸念される。カビ毒産生菌種の分布拡大による汚染の増大だけでなく、環境変化により現在国内に生息しているカビのカビ毒産生性が変化し、カビ毒による汚染が増大する可能性も考えられる。本研究においては、コメなどを汚染し、国内でも汚染の報告があるカビ毒のひとつ、ステリグマトシスチン（STC）を取り上げ、その産生菌種を多く含むAspergillus section Versicoloresに着目した。当該SectionにはSTCの産生性の異なる近縁種が複数含まれており、環境変化がそのカビ毒産生性に与える影響を検討した。
地球温暖化による環境変化には、温度のほかに湿度、塩濃度、pHなどの変化が考えられるが、特にpHの変化に着目し、様々なpH条件でSTC産生性を調べた。一般的な土壌pHを踏まえたpH5.6の条件においてSTC産生性が高いか菌株（高産生株）と低い菌株（低産生株）をそれぞれ低pH条件（pH4.0）で培養したところ、低産生株の産生性が著しく増大し、高産生株と同レベルとなった。また、これらの変化が、どのようなメカニズムで生じるかを検討するため、pH5.6およびpH4.0における遺伝子発現をRNA-seq解析により網羅的に比較した。その結果、pHが低下することでSTC生合成遺伝子クラスターの発現が全体的に高くなり、特に一部の遺伝子について大きく発現が変化していた。
土壌の酸性化などのストレスによりSTC遺伝子クラスターの発現が上昇し、STC産生株が増加する可能性が考えられる。
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