2019 Fiscal Year Research-status Report
誤嚥を防ぐための食品開発につながるTRPチャネルのデータベースの構築
Project/Area Number |
19K05871
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
安藤 宏 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (30312094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Hossain M.Zakir 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (40792445)
北川 純一 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (50373006)
海野 俊平 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (80418920)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 上喉頭神経 / 嚥下 / TRPチャネル / TRPA1 / TRPV4 / ASIC3 / Piezo1 / Piezo2 |
Outline of Annual Research Achievements |
咽頭・喉頭領域の感覚は、迷走神経の分枝である上喉頭神経に受容される。これまでに、我々はTRPV1やTRPM8チャネルの上喉頭神経における発現分布およびこれらチャネルを介する上喉頭神経の求心性情報が嚥下誘発を亢進することを発表した。本研究の目的は、咽頭・喉頭領域の感覚を支配している上喉頭神経における、その他の様々な受容体の発現分布を検索し、生理学的機能について検討することである。冷刺激やワサビ刺激に応答するTRPA1、浸透圧または機械刺激で活性化すると考えられているTRPV4について、ラット上喉頭神経における発現分布を免疫組織学的に調べた。これらTRPチャネル以外で酸によって活性化するASIC3チャネルについても調べた。いずれのチャネルも上喉頭神経の感覚神経の細胞体が存在する神経節内で免疫陽性反応が観察された。また、電気生理学的実験により、咽頭・喉頭領域へのこれらチャネルのアゴニスト刺激が嚥下誘発を亢進することが明らかにされた。さらに、機械刺激で活性化するPiezo1およびPiezo2チャネルの上喉頭神経における発現も調べた結果、上喉頭神経の感覚神経の細胞体が存在する神経節で免疫陽性反応が観察された。これらの結果は、食べ物や飲み物を飲み込むとき、上喉頭神経に発現しているTRPA1、TRPV4、ASIC3、Piezo1およびPiezo2チャネルが、「のどごし」感覚の形成に関与し、さらに「嚥下の誘発」に重要な役割をはたしていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TRPチャネルの発現を上喉頭神経の感覚神経の神経節において免疫組織化学的に調べる方法をおおよそ確立できた。またTRPチャネルのアゴニストやアンタゴニストを投与した時の嚥下の誘発の促進や抑制効果を電気生理学的に観察するための標本が確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
上喉頭神経の咽頭・喉頭領域の粘膜における分布を、上喉頭神経へ神経トレーサーを注入することにより調べる。この上喉頭神経の末梢部位において、TRPチャネルの発現を免疫組織化学的方法により調べる。TRPチャネルは食物に含まれる化学物質を受容するとともに、温度受容器でもあるため、温度刺激の嚥下に対する効果を調べる。
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Causes of Carryover |
2020年度に抗体やチャネルのアゴニスト・アンタゴニストを購入するため。
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