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2020 Fiscal Year Research-status Report

日本ワインの酒質向上に関する基礎的研究

Research Project

Project/Area Number 19K05878
Research InstitutionUniversity of Yamanashi

Principal Investigator

斉藤 史恵  山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (00625254)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2022-03-31
Keywordsワイン / 微生物汚染 / 産膜 / ポリフェノール化合物 / タンニン / マスカット・ベーリーA
Outline of Annual Research Achievements

マスカット・ベーリーA(MBA)は日本ワインの主力ブドウ品種であるが,微生物安定性の低さが指摘されている。しかしながら,ブドウ品種により微生物汚染のうけやすさが異なるという報告やその要因についての報告はない。本研究では微生物汚染の1つである産膜汚染に着目し,令和2年度は,市販ワイン(MBA20本,MR 20本)を用いて3つの下記の項目を行った。
① MBAの酒質評価(アセトアルデヒドとアセタールの定量):市販ワイン(MBA20本,MR 20本)について産膜汚染で生成する揮発性成分(アセトアルデヒド、アセタール)を定量したが、濃度が高かったものは,40本中1本のみでMBAとMRとの間に差はなかった。あらたな知見としてアセトアルデヒドとアセタール濃度との間に正の相関があることがわかった。
② MBAの酒質評価(産膜形成試験):市販ワインをろ過滅菌し,産膜性酵母を接種して静置培養した。培養3日目に産膜形成がおこった本数はMRワインが8本に対してMBAワインは15本であった。この結果より,MBAワインには産膜形成がおこりやすい要因があると考えられた。
③ 微生物安定性への寄与成分探索:市販ワインについて微生物安定性に寄与すると予想される成分(pH,滴定酸度,亜硫酸濃度,エタノール濃度,グルコースおよびフルクトース濃度,ポリフェノール化合物濃度,タンニン濃度)を測定し,産膜形成の有無との関係を主成分分析により検討した。その結果,ポリフェノール化合物およびタンニン濃度が高いワインでは産膜形成が抑えられたことがわかった。また,MBAは全体的にこれら化合物濃度が低かった。すなわち,MBAはポリフェノール化合物およびタンニン濃度が低いために産膜形成を受けやすいと結論付けた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

①について,アセトアルデヒドとアセタール濃度の品種間差は得られなかった。分析に用いたワインが,一定品質以上のものであったことが要因と考えられた。今回の数値を用いて日本ワインの現状を把握することはできなかった。しかし,アセトアルデヒドとアセタール濃度との間に関係性があることが明らかになり,新たな知見として報告する準備を行っている。②についてはMBAが産膜を形成しやすいという明確な結果が得られた。これまで,産膜形成とブドウ品種との関係性についての報告がないため,本結果は新たな知見である。③では,ワイン中のポリフェノール化合物とタンニンが産膜形成抑制効果をもつことが示唆された。本結果については現在投稿準備中である。一方,ワイン中に産膜形成促進効果をもつ成分も含まれることが予備試験で明らかとなった。本成分についても検討を行うこととした。

Strategy for Future Research Activity

令和3年度は,ワイン中のポリフェノール化合物およびタンニンの産膜形成抑制効果について引き続き検討を行う。DIAION HP-20カラムクロマトグラフィーを用いてこれら化合物を分取して精製したものを産膜形成試験培地に添加する。産膜酵母を接種し,産膜形成の有無を評価する。抽出方法はすでに確立しており,すでに作業にとりかかっている。一方,産膜形成促進効果をもつ成分も存在することが推測されたため,この成分分析についても検討を行う。この成分は,DIAION HP-20カラムクロマトグラフィーで吸着されない成分であることがわかっている。機器分析を用い化合物の推定を行う。

Remarks

山梨大学研究者総覧
http://nerdb-re.yamanashi.ac.jp/Profiles/337/0033697/profile.html

URL: 

Published: 2021-12-27  

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