2020 Fiscal Year Research-status Report
The analysis of asthma remedy by negi extract in sg III knockout mice
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19K05882
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
岩下 淳 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (70315597)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ムチン / 喘息 / 食品成分 / 外分泌 / Sg III / MUC5AC |
Outline of Annual Research Achievements |
健常者の気道表面ではMUC5Bを主成分とした粘液ムチンが分泌されて粘液層を形成し、細菌、ウイルス等からの生体防御を行う。しかし喘息や慢性閉塞性肺疾患患者(COPD)の気道では、MUC5ACを主成分とした大量の粘液ムチンが分泌されて気道を閉塞し、呼吸困難の症状を悪化させる。我々は秋田県産の根深ネギ抽出物を含んだ飼料を自由摂取させた喘息マウスの気道では粘液ムチンの分泌が抑制されることを見出した。この結果を発展させ、根深ネギの有効成分や摂取条件を検討することにより、気道での粘液分泌を抑制して喘息症状を改善する機能性食品の開発を目指している。本研究は喘息モデルマウスの系と、分泌顆粒の輸送に重要なセクレトグラニンIII(Sg III)ノックアウトマウスの系を用いて以下2点の解析を行うことが目的である。 ①喘息モデルマウスを用いて、根深ネギ抽出物が気道における粘液ムチンの分泌を最も抑制し、喘息症状を改善する条件を探索する。 ②根深ネギ抽出物が、Sg IIIなど分泌に関わるタンパク質を介したシグナル経路で粘液ムチンの分泌を抑制するのか明らかにし、学術的な知見を得る。 これまで研究計画に沿って②に関する研究を優先的に進め、MUC5ACとMUC5Bの分泌に及ぼすSg IIIの影響に関するいくつかの興味深い知見を得た。今年度は根深ネギを自由摂取させた喘息モデルマウスを用いた解析を進める予定である。現在喘息モデルとしたSg IIIノックアウトマウス肺の切片を作製するとともに、ウエスタンブロット法などにより粘液ムチンMUC5ACの分泌を解析中である。 令和2年度には本研究に関連する論文を新たに6報(すべて筆頭著者兼corresponding author)発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の②Sg IIIノックアウトマウスをオボアルブミン噴霧によって喘息モデルマウスとし、根深ネギ抽出物による気道粘液分泌の抑制におけるSg IIIの役割を明らかにする、を①に先行して進めた。その結果、MUC5ACとMUC5Bムチンの気道における分泌に関して新たな知見を得た。また、その分泌に関与するシグナル経路の活性についても知見を得た。 それらの知見に関連して、本年度には本研究に関連する論文を新たに6報(すべて筆頭著者兼責任著者)発表し、昨年度と併せて10報の発表を行うなど、おおむね順調に研究が進展している。 今年度は研究計画の①に沿って解析を行い、Sg IIIノックアウトマウスを喘息化して最適条件で根深ネギ含有飼料を自由摂取させ、気道粘液分泌に及ぼす影響を解析する予定であり、さらなる研究の進捗が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究計画に沿って、Sg IIIノックアウトマウスを喘息化して実験対象として用い、根深ネギ成分含有飼料を様々な条件(濃度、期間など)で自由摂取させ、その気道で分泌される粘液ムチン(MUC5AC、MUC5B)の分泌量を解析し、MUC5ACが最も減少する摂取条件を探索する予定である。 a) 根深ネギ含有飼料を様々な濃度、様々な期間喘息モデルマウスに与えて最適な投与条件を探索し、機能性食品開発の基礎データを得る。 b) 根深ネギ成分はネギのエタノール抽出物を現在使用して解析を行っているが、抽出方法を見直し、より強い抑制効果を得られる抽出方法を探る。 c) 根深ネギの有効成分として、イソアリインなどの低分子が働く可能性がある。イソアリインの活性について、Sg IIIノックアウトマウスに根深ネギエキスを含む飼料を給餌し、粘液ムチンの分泌に対する効果について、解析を行う。 以上3点について解析を行い、研究成果をまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
購入したマウスや試薬などの消耗品が予定よりも廉価で入手でき、購入数も少なく済んだため、次年度使用額が生じた。今後は根深ネギを用いた研究を開始するため新たな出費が予想され、翌年度分として申請した金額と併せて使用して、さらに研究を進展させる予定である。
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Research Products
(6 results)