2020 Fiscal Year Research-status Report
Possibility of rice protein as a functional food material including anti-obesity component
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19K05885
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| Research Institution | Niigata Institute of Technology |
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Principal Investigator |
久保田 真敏 新潟工科大学, 工学部, 准教授 (00595879)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 美仁 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 助手 (20811491) [Withdrawn]
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | 米糠タンパク質 / 抗肥満作用 / 糞中脂質排泄促進作用 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
2019年度の検討から，米胚乳タンパク質と比較して米糠タンパク質（RBP）でより強力な抗肥満作用がみられることが明らかとなった。そこで2020年度では申請書類の内容に従い，より強力な抗肥満作用がみられたRBPを対象に，抗肥満作用に寄与するRBP中の有効成分に焦点を当て，RBPと同等のアミノ酸組成を有するアミノ酸混合物（AA）が肥満に与える影響を明らかにすることを目的とした。
供試動物として6週齢の雄性C57BL/6Jマウスを用い，肥満誘導を目的に高脂肪高ショ糖飼料（脂質含量30%（標準飼料の約4倍），ショ糖含量20%（標準飼料の2倍））を12週間給与した。試験群として高脂肪高ショ糖カゼイン（HC）群，高脂肪高ショ糖RBP（HRBP）群，高脂肪高ショ糖AA（HAA）群，標準カゼイン（NC）群の4群を設定した。なおHAA群の飼料で使用したAAはRBPのアミノ酸組成と同等になるように，アミノ酸を混合して調製した。試験終了時には血液，各種臓器を回収し，各種測定に供した。
試験開始4週目以降よりHC群と比較して，HRBP群の体重は有意に低値を示した。一方，HAA群ではHC群と比較して体重増加が抑制される傾向はみられたものの有意な変動がみられなかった。また脂肪組織重量は体重変動と同様に，HRBP群で有意に低値を示し，HAA群ではその効果が限定的であることが示された。次にRBPの抗肥満作用の作用メカニズムを明らかにすることを目的に，糞中への脂質排泄量を測定した。HC群と比較して，HRBP群で有意に高値を示したが，HAA群では増加する傾向はみられたものの有意な変動はみられなかった。以上の検討結果より，RBPの抗肥満作用にはそのアミノ酸組成だけではなく，消化過程で生成するペプチドが寄与している可能性が示され，その作用の一部は糞中への脂質排泄促進作用を介している可能性が示された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請では，米タンパク質の摂取が肥満に与える影響を明らかにすることを目的としている。申請書の記載内容に従い，初年度は米胚乳タンパク質と米糠タンパク質（RBP）を用いた検討を行い，RBPでより顕著な抗肥満作用がみられることを明らかにした。2020年度は初年度の検討を元に強力な抗肥満作用を示したRBPに注目し，RBPの抗肥満作用がそのアミノ酸組成に由来していると仮説を立て，RBPと同等のアミノ酸組成を持つアミノ酸混合物（AA）が肥満に与える影響について，食事誘導性肥満モデルマウスを用いて検討した。その結果，RBPと比較して，RBPと同等の組成を持つAAの抗肥満作用は限定的であることが明らかとなった。また，その作用メカニズムについて初年度と同様に糞中脂質排泄促進作用に注目し検討を行ったところ，体重や脂肪蓄積抑制作用と同様に，RBPで強力な作用がみられたものの， AAではその作用が限定的であることを明らかにした。申請書では2年目終了時点で”消費エネルギーの上昇”に注目した検討を行うために，real-time PCR法による肝臓および脂肪組織の遺伝子発現解析を行う予定となっていたが，その解析は現在行っている途中であり，完了していない状況である。このように一部終了していない解析も存在しているが，12週間の飼養試験自体は予定通り完了しており，重要なデータはほぼ取り終えている。また解析が終了していない遺伝子発現解析についても，解析に必要な試薬などの準備および予備的な検討は終了しており，解析には着手し始めている。以上のことから，ほぼ申請書通りに研究が進捗していると判断した。
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| Strategy for Future Research Activity |
2年間の検討結果より，米糠タンパク質（RBP）が米胚乳タンパク質（REP）と比較して，強力な抗肥満作用を有していることが示され，さらにその抗肥満作用がRBPのアミノ酸組成だけではなく，ペプチドに由来している可能性を示すことに成功した。しかし，本申請で行う予定にしている抗肥満作用の作用メカニズム解明，特に”消費エネルギーの上昇”に注目した遺伝子発現解析については2年目終了時点で，その解析が完了していない。そこで3年目は，この肝臓および脂肪組織の遺伝子発現解析を速やかに完了させることとする。なおこの遺伝子発現解析で注目する遺伝子群は，脂肪燃焼系であるβ-酸化系，脂肪組織の分化，脂肪組織での脂質の取り込みに関係するものである。
本年度はさらにこれまで入手が困難であり，機能性に関する検討事例が大変少ないデンプン分解法により調製したREP（SD-REP）が入手可能となったため，新たにSD-REPを用いた検討を行うこととする。このSD-REPは初年度に使用したアルカリ抽出法により回収したREP（AE-REP）と比較して，一部のタンパク質の消化性が大きく低下しているという特徴を持つものである。難消化性タンパク質は食物繊維様の機能を持つことが期待され，近年注目を集めている食品素材であり，難消化性タンパク質量が多いSD-REPは糞中への脂質排泄を促進することで，AE-REPより強力な抗肥満作用を示すことが期待される。さらにSD-REPは食品素材としての開発が進み，近い将来市販される可能性が高いタンパク質素材でもあり，今後の米タンパク質の機能性研究の中心を担っていくことが期待されている素材である。そこで最終年度は2019年度，2020年度と同様に高脂肪高ショ糖飼料を用いた食事誘導性肥満モデルマウスを用いて，SD-REPの摂取が肥満に与える影響について明らかにする。
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| Causes of Carryover |
本年度の研究は申請書に従い，ほぼ順調に進行しているが，米糠タンパク質の抗肥満作用のメカニズム解析を行うための遺伝子発現解析が完了していない状況であり，本年度にこれら解析を行う必要がある。そこでこれら遺伝子発現解析に必要な物品費（各種試薬代，PCR解析に必要な消耗品など）として，408,692円を次年度に繰り越した。
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Research Products
(2 results)
