2020 Fiscal Year Research-status Report
プラズマローゲン摂取における大腸での機能性および代謝動態に関する研究
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19K05892
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
山下 慎司 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (90531434)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | プラズマローゲン / 消化器官 / 大腸 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
プラズマローゲンはビニルエーテル結合をもつリン脂質であり、脳神経に高濃度に存在し、アルツハイマーをはじめとする脳神経疾患との関りが広く研究されている。また、食事やサプリメントとして摂取した際に認知機能が改善するとの報告もある。一方でプラズマローゲンは粘膜にも比較的高濃度に存在していることから消化器官への食品機能性も期待されるが、消化器官に関する報告は多くない。本研究ではプラズマローゲン摂取による消化器官への影響を対象としており、本年度は大腸炎症に対するプラズマローゲンの食品機能性に注目した。 大腸炎症のin vivoモデルとしてドデシル硫酸ナトリウム(DSS)飲水マウスを用いた。DSS飲水は、マウス体重の減少、大腸長の短縮、脾臓重の増加、さらに大腸においてクリプト損傷、酸化ダメージ、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性増加、炎症関連サイトカインおよびアポトーシス関連タンパク質の増加を示した。一方、プラズマローゲン摂取はこれら障害を緩和した。また、in vitro腸管炎症モデルとしてリポ多糖(LPS)処理分化Caco2細胞を用いた。LPS処理は生細胞数を減少させるとともに炎症関連サイトカインおよびアポトーシス関連タンパク質発現を増加させた。LPS処理細胞へのプラズマローゲン添加はこれらの障害を緩和した。 以上、プラズマローゲンの消化器官における新たなる食品機能性を検討し、プラズマローゲン摂取が大腸において炎症抑制作用を示すことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プラズマローゲンの腸管における機能性および代謝を調査し、新たなる知見を得ることができた。その結果を英文雑誌に投稿し、現時点で3報が掲載されていることから概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
プラズマローゲンの代謝および機能について別の腸管モデルおよび病態モデルを使い、より詳細な調査を行う。また消化器官である肝臓におけるプラズマローゲンの代謝・機能についても検討する。
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