2020 Fiscal Year Research-status Report
脂質摂取がマウスの睡眠に及ぼす影響と認知症モデルマウスの病態改善への応用
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19K05900
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
細野 崇 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (80445741)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ランニングホイール運動 / 摂餌行動 / サーカディアンリズム / ダラダラ食い / 高脂肪食 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本人の5人に1人が不眠で悩んでおり、睡眠障害による経済損失は最大15兆円にのぼると試算されている。昨年度の研究において、マウスに通常食を給餌すると活動期の暗期に餌を食べるのに対し、ラード含有高脂肪食を給餌すると活動期・非活動期を通じて断続的に餌を食べ続ける「ダラダラ食い」となることや、高脂肪食給餌により体重が顕著に増加したことから、体重増加と明期の摂餌行動の間に因果関係があることを見出してきた。マウスは夜行性であるにも関わらず、高脂肪食の給餌により明期に摂餌行動が見られたため、睡眠状態に影響を及ぼし、明暗周期に伴う活動リズムが変化することが予想された。そこで本年度は、センサー付きのランニングホイールを用いて運動行動を測定することで高脂肪食給餌マウスの活動リズムを評価し、高脂肪食給餌によるダラダラ食いが活動リズムに及ぼすか検討した。その結果、高脂肪食給餌マウスの摂餌行動は非運動群とランニングホイール運動群の間で変化がなく、暗期に70%、明期に30%の摂餌行動が認められた。このときの活動リズムをランニングホイール運動により評価したところ、予想に反して運動行動が見られる時間帯は暗期が99%であり、明期の運動行動はほとんど認められなかった。以上の結果から、高脂肪食給餌により明期に摂餌行動が認められるものの、明暗周期(明期12時間、暗期12時間)に従った活動リズムは影響を受けないことが明らかとなった。今後は、明期の睡眠を阻害することで睡眠障害を引き起こす断眠モデルマウスを作製し、直接的な睡眠障害が認知機能に及ぼす影響について評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度はランニングホイールによる運動行動を解析しながら、同時に摂餌行動をモニターする実験系を確立した。その方法を用いて、高脂肪食給餌マウスの摂餌行動を活動リズムの評価を実施し、摂餌行動と活動リズムの関係について明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は明期の睡眠を阻害することで睡眠障害を引き起こす実験モデルを作製する。同モデルマウスを用いて、認知機能に及ぼす影響を評価する。
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Causes of Carryover |
活動リズムを測定する実験データのバラツキが当初予定されていたよりも少なかったため、実験条件の最適化などの必要性がなくなり、実験動物飼料の購入費用が少なかった。令和3年度は新しい試験飼料の購入に充当する。
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