2021 Fiscal Year Research-status Report
The mechanism elucidation of anti-obesity effect about tea beverage containing soluble hesperidin
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19K05921
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
長谷 靜香 福岡工業大学, 工学部, 准教授 (10448821)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 未熟ミカン / 緑茶三番茶葉 / 混合発酵茶飲料 / ヘスペリジンの可溶化 / 抗肥満作用 / ラット初代肝細胞培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、廃棄もしくは未利用資源である未熟ミカンおよび緑茶三番茶葉を有効活用して製造・開発した未熟ミカン混合発酵茶葉の熱水抽出物(茶飲料)は、マウスにおける自由摂飲により、明らかな脂肪組織重量の低減作用(抗肥満作用)を発揮することが示唆された。これはレプチン感受性向上が一因であることが示された。また、ラットにおける未熟ミカン混合発酵茶飲料の定量経口投与では、肝臓コレステロール濃度低下や、糖質のエネルギー消費量の促進が観察された。 令和3年度は、未熟ミカン混合発酵茶飲料の抗肥満作用メカニズムの一つとして、肝臓における脂質代謝、特に肝臓から血中への脂質分泌やケトン体生成に及ぼす影響を検討するため、ラット肝臓を用いた灌流実験を行う予定であった。しかし、コロナ禍における動物実験の施行縮小により、実験手法として、当初予定していた大規模な灌流装置を用いた実験から、ラット肝実質細胞を用いた初代肝細胞培養実験に変更する計画を立案した。コロナ禍により、肝臓灌流実験に必須の模擬血液(牛赤血球)の入手が困難なことも理由の一つである。このような状況から、最終年度である令和3年度の科研費の執行を一部次年度に延長した。 令和3年度は、ラットから肝臓を摘出後、無菌下でコラゲナーゼ処理して得られた肝実質細胞の培養に成功し、培養条件を確立した。今後は、未熟ミカン混合発酵茶飲料の定量経口投与が、肝細胞からのリポタンパク質(中性脂肪やコレステロール)の分泌やケトン体生成量に及ぼす影響について検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍により、密回避のための動物実験施行縮小(結果として人手不足)やコロナ感染者判明による研究活動の停止などにより、日常的な実験遂行が困難を極めている。また、イレギュラーなコロナ関連業務により、研究時間が十分に確保できない状況であるため、進捗は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、ラット肝臓灌流実験の代替としてラット初代肝細胞培養実験を実施する。SDラット(雄、5週齢)をコントロール群(水投与群)および未熟ミカン発酵茶飲料投与群とに分け、高脂肪・高コレステロール添加食の給餌と同時に水もしくは茶飲料を定量経口投与して4週間飼育後、それぞれの肝臓を摘出し、肝実質細胞を得た後、初代肝細胞培養を行う。肝細胞からのリポタンパク質(中性脂肪やコレステロール)の分泌やケトン体生成量に及ぼす影響について検討することで、脂質分泌抑制や脂肪のエネルギー変換促進が、未熟ミカン混合発酵茶飲料の抗肥満作用のメカニズムの一因となり得るか立証する予定である。 本発酵茶飲料は紅茶に分類されるが、一般的な紅茶とは異なり、未熟ミカン由来のフラバノン配糖体を含み、かつその不溶性が改善されていること、また発酵程度が低いことから、三番茶葉由来のカテキン類のすべてが重合して紅茶ポリフェノールに変換されず、残存していることが特徴である。よって、これら有効成分の多様性による有用性を証明するため、上述の検討事項について一般的な紅茶と比較する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、密回避のための動物実験施行縮小(結果として人手不足)やコロナ感染者判明による研究活動の停止などにより、日常的な実験遂行が困難を極めている。また、イレギュラーなコロナ関連業務のため、研究時間が十分に確保できない状況である。 よって、当初予定していた大規模な灌流装置を用いた実験から、ラット肝実質細胞を用いた初代肝細胞培養実験に変更する計画を立案した。コロナ禍により、肝臓灌流実験に必須の模擬血液(牛赤血球)の入手が困難なことも理由の一つである。このような状況から、最終年度である令和3年度の科研費の執行を一部次年度に延長することとし、引き続き初代肝細胞培養実験により未熟ミカン混合発酵茶飲料の抗肥満作用メカニズムの解明を行う予定である。
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