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2020 Fiscal Year Research-status Report

Research on exposure estimation of inorganic nanoparticles contained in / adhered to food

Research Project

Project/Area Number 19K05924
Research InstitutionNational Institute of Health Sciences

Principal Investigator

鈴木 美成  国立医薬品食品衛生研究所, 食品部, 室長 (40469987)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2022-03-31
Keywordsナノ粒子 / sp-ICP-MS / ベイズ推定
Outline of Annual Research Achievements

single particle (sp) ICP-MS法は、ナノ粒子の特性を解析できる有用な方法である。一般的なsp-ICP-MSデータの解析では、過渡的なピークを検出し、ナノ粒子であると判断できる基準 (定量下限値等) 以上のピークを用いて粒径等を解析する。しかし、バックグラウンドが高い場合や低カウントの信号の場合には、その基準の設定は非常に困難である。誤った基準の設定は、粒径および数濃度の情報を過小評価/過大評価するため、誤ったリスク評価結果につながる可能性がある。そこで、基準値に依存しない解析アルゴリズムとして、ベイズ推定を用いてデータ生成過程を統計的に再現する方法について検討した。
ナノ粒子標準物質として粒径10~60 nm Agナノ粒子を用いた。得られたデータはカウントデータとして、ピーク積分等のデータ処理は行わずにベイズ推定に供試した。ベイズモデルを用いて推定するパラメーターは、ナノ粒子の観測頻度 θ,バックグラウンドの信号 (カウント) λ_bkg,ナノ粒子の信号 (カウント) λ_NPとした。さらに、Peak split係数を導入し、ナノ粒子の信号が分割されて確率的に隣の時点の信号に加算されるモデルを想定した。最終的な信号はポアソン分布に従うと仮定した。
粒径60 nmのAgナノ粒子を解析した結果、ピーク処理を行い解析した結果よりも、ベイズ推定で得られた結果の方が期待値と近かった。粒径10, 20, 40 nmのAgナノ粒子においても同様の結果が得られた。さらに、粒径20 nmのAg ナノ粒子に Agイオン標準溶液を0.15 μg/L添加した溶液を解析したところ、具体的に情報を指定した事前分布を用いることで添加していないものと同様のλ_NPを推定することが出来た。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

バックグラウンドが高い場合や低カウントの信号の場合に、ナノ粒子由来の信号であるかを判断する基準をどのように設定するのが適切であるのかが、sp-ICP-MS分析では課題となっており、本研究においても初年度より問題となっていた。新型コロナの影響で、テレワークが導入されWetの研究が行えない期間が続いた状況と、他の研究課題との兼ね合いも考慮し、2020年度はデータ解析手法に関するDryな研究計画に変更した。注目したのは、近年様々な分野に導入が進んでいるベイズ推定である。sp-ICP-MSで得られる信号がどの様にして得られるのか (データ生成過程) を再現し、そのパラメーターをベイズ法で推定するものである。これまで提案されてきたアルゴリズムとは異なる、アプローチの解析方法であり、新規性がある。
このように、当初の予定を変更せざるを得なかったが、当初は想定していなかった新規の解析手法を開発することができた。以上の理由から、本研究課題はおおむね順調に進展しているといえた。

Strategy for Future Research Activity

日本人の日常的な食事 (日常食) からのナノ粒子暴露量を推定するため、日常食のモデルとなるトータルダイエット試料をマーケットバスケット方式により調製する。日本人の平適宜調理を行い食品群ごとに混合均一化した14食品群に分けたトータルダイエット試料を調製する。14食品群の内訳は、1群:米及びその加工品,2群:雑穀・芋,3群:砂糖・菓子類,4群:油脂類,5群:豆・豆加工品,6:果実類,7群:有色野菜,8群:その他の野菜・海草類,9群:嗜好飲料,10群:魚介類,11群:肉・卵,12群:乳・乳製品,13群:調味料,14群:飲料水とする。食品群ごとに、金属ナノ粒子の食事性曝露量を評価を行う。評価の際には粒径・粒子数濃度・粒子質量濃度の評価を行う。なお、粒径に関しては平均粒径と最大粒径の両者について評価を行う。最終的にはその総和として金属ナノ粒子の食事性曝露量 (粒子数および粒子質量) を評価する。
通常の解析方法であるsp-ICP-MS-ピーク検出では解析できない場合には、2021年度に開発したベイズ法による推定方法も活用する。
対象とする金属ナノ粒子は、銀ナノ粒子とする。その他、二酸化チタンおよび二酸化ケイ素ナノ粒子についても進捗状況に応じて評価する。

Causes of Carryover

新型コロナウイルスの影響でリモートワークが導入されたことを受け、Dryな研究を中心に進めることに研究計画を一部変更した。そのため、申請時の計画であった消耗品の使用量が大幅に減少した。
繰越した研究費は測定試料及び試薬等の消耗品に使用する。また、銀ナノ粒子以外のナノ粒子について検討するため、ナノ粒子標準物質の購入に充てる予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2020

All Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Presentation] sp-ICP-MS法によるナノ粒子の特性解析へのベイズ推定の有効性2020

    • Author(s)
      鈴木美成,岡本悠佑, 近藤翠, 谷泉美, 田中佑樹,小椋康光, 穐山浩
    • Organizer
      メタルバイオサイエンス研究会2020
    • Invited

URL: 

Published: 2021-12-27  

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