2021 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性腸疾患のディスバイオシス改善のための植物乳酸菌活用戦略
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19K05930
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
東川 史子 広島大学, 医系科学研究科(薬), 特任准教授 (70346534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 政則 広島大学, 医系科学研究科(薬), 共同研究講座教授 (30106801)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 潰瘍性大腸炎 / クローン病 / 腸内細菌叢 / ディスバイオシス / 植物乳酸菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症性腸疾患(IBD)は潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)に大別される難治性疾患であり、異常亢進した免疫細胞が自身の腸粘膜を攻撃する自己免疫疾患であると考えられている。近年、IBDと腸内マイクロバイオーム(MB)のディスバイオシスの関連等の解明は進んで来たが、発症原因は未だ明らかではない。 本研究では、健常者及びUC患者(寛解状態)のMBを取得し、メタゲノム解析や腸管細胞への影響及びその影響に対する植物由来の乳酸菌の効果等を検討した。各MBの培養上清をヒト腸管上皮様細胞株Caco-2細胞に添加培養したところ、MB取得時にUC治療薬を服用中であった患者のMBでは、Caco-2細胞生存率が健常者と同程度であったが、服薬無しの患者のMBでは細胞生存率を有意に減少させた。また、その際のサイトカイン等の発現においても服薬の有無で差があり、IL-6、IL-18、TNF-α及びIL-1のmRNA発現量が、健常者や服薬中UC患者と比較し服薬無しでは有意に増加した。また、AhR (Aryl hydrocarbon receptor)やTGF-βも、服薬無しで増加傾向にあった。 次に、植物由来の乳酸菌が、腸管細胞への障害性を抑制するか検討したところ、Enterococcus属の数種が、腸炎モデルとして使用されるDSS(Dextran sulfate sodium)による細胞障害を抑制したものの、UC患者MBによる細胞数減少を顕著に抑制する植物乳酸菌は見出せなかった。 さらに、UC患者のMBを、健常者MBと混合培養した後、16S rRNAメタゲノム解析によってその構成を比較したところ、健常者に多かったBifidobacterium属やLactobacillus属、Pseudomonas属等の菌種が共培養後に著しく低下した。
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