2020 Fiscal Year Research-status Report
血糖低下作用を示す食品成分のスクリーニングと作用機構の解明
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19K05935
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Research Institution | Matsumoto University |
Principal Investigator |
高木 勝広 松本大学, 大学院 健康科学研究科, 教授 (80279562)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スルフォラファン / クルクミン / PEPCK遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度の研究では、スルフォラファンによる PEPCK mRNA の発現抑制は、novel PKCおよび MAP Kinase 経路 を介すことが示唆された。そこで2020年度は、ウェスタンブロット解析等を用いてシグナル分子の同定を試みた。 初めにnovel PKC の活性化剤である phorbol-12-myristate-13-acetate で、ラット高分化型間癌細胞株である H4IIE 細胞を処理すると PEPCK mRNA の発現が抑制された。またウェスタンブロット解析を行ったところ、スルフォラファン処理後経時的に活性化型であるリン酸化 MAPKinase量 が有意に増加した。これらの結果から、スルフォラファン による PEPCK mRNA の発現抑制は novel PKC および MAPKinase の活性化が関与することが明らかとなった。今後は PEPCK 遺伝子の発現抑制機構を解析する。 また、これまでのクルクミンの実験ではPEPCK 遺伝子が発現誘導を濃度依存的かつ経時的に減少させることを明らかにした。そこで2020年度は、クルクミンによる PEPCK mRNA の誘導抑制が、転写レベルで起きているのかについて阻害剤を用いて検討した。H4IIE 細胞を DNA 依存性 RNA polymerase II の阻害剤である actinomycin D および翻訳阻害剤である cycloheximide で一定時間処理した後、クルクミンで培養し、PEPCK mRNA の発現量を測定した。その結果、actinomycin D は PEPCK mRNA の発現抑制を完全に阻害したが、cycloheximide は発現抑制に影響を与えなかった。したがって、クルクミンによるPEPCK mRNAの発現抑制はタンパク質合成を必要とせず、転写レベルで生じていることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
イソチオシアネート類のスルフォラファンやポリフェノール類のクルクミンの研究は、 当初の予定よりも若干遅れている。研究計画では2020度は、転写抑制機構の解析を行う予定であったが、2019年度からの研究の遅れの影響を受けている。ただ、転写抑制機構の解析で行うルシフェラーゼリポーターアッセイの予備実験は既に終えていて、直ぐにでも本実験を行える状況となっている。 以上を踏まえ、2020年の実施計画から「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020度のやりの残しを含め、申請書に示した計画通りに実験を進めていく予定である。 2021年度はまずルシフェラーゼリポーターアッセイを行い、スルフォラファン、クルクミンの転写抑制機構の解析を行う。ルシフェラーゼリポーターアッセイでは、PEPCK 遺伝子の転写調節領域 -467~+69 を含むレポータープラスミドを用いて、PEPCK 遺伝子のプロモーター領域の解析を行う。この領域に食品成分に応答性の配列が含まれているかを検討し、含まれていれば、デリーションコンストラクトを構築し、食品成分応答性配列を決定する。また並行して、イソチオシアネート類の iberin、erucin を用いて PEPCK 遺伝子発現抑制メカニズムを解析する予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度は、2019年度における新型コロナの影響で実験の進度が鈍ってしまい、2020年度所要額と使用額に差が生まれてしまった。今後は、2020年度のやり残した分を含め、2021年度の計画通りに実行していけるよう鋭意努力する。
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