2020 Fiscal Year Research-status Report
味制御を志向した食品中の超分子現象の探索とその作用機作の解明
Project/Area Number |
19K05938
|
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
氏原 ともみ 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 上級研究員 (60355609)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 味調節 / 味 / 食品成分 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、2019年度のスクリーニングにより呈味物質の味強度を変化させることが判明した調節物質候補の一つについて、前年度のスクリーニングには含まれなかった呈味物質を含有する食品への効果を検証した。当該物質は食品成分に由来する食品添加物として市販されており、十分な食経験があることから、特段の注意なく安全に使用が可能であると考えられる。マスキング効果の検出には、味覚センサ装置による味強度測定値の変化を用いる予定であったが、予備実験の結果、今回対象とした呈味物質の味(苦味)を評価不可能であることが判明したため、官能審査を用いることとした。当該調節物質候補は、新たに供試した食品の苦味に対しても味強度の変化をもたらした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
味強度変化のメカニズム解明に関しては現在遂行中であるが、新たな味調節剤候補の探索に成功し、特許出願を完了したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、実験化学的手法と計算化学的手法を併用して味強度変化をもたらす複合体形成のメカニズム解明を行う。実験化学的手法としては、対象呈味物質と味調節剤との複合体形成の評価、複合体構造の解析、計算化学的手法としては、ドッキングシミュレーションおよび量子化学計算による複合体構造の推定を行う。
|
Causes of Carryover |
2020年度には、複合体形成のメカニズム解明に関して滴定実験を予定していた。そのために、農産物に含有される呈味物質を使用予定であった。国外メーカーからの購入となり、また天然物の単離・精製品であることから高額であることが予測されたため消耗品費に計上していたが、取り扱いメーカーから見積もり問い合わせに対する返答が得られず、入手不可能であったため、次年度に繰り越し代替品での実験を行うこととした。
|