2019 Fiscal Year Research-status Report
成長円錐の膜動態を支えるイノシトールリン脂質制御分子群の統合的機能解析
Project/Area Number |
19K05947
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
河嵜 麻実 新潟大学, 医歯学系, 特任講師 (10609358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 道弘 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50193173)
中津 史 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (50360607)
武内 恒成 愛知医科大学, 医学部, 教授 (90206946)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 成長円錐 |
Outline of Annual Research Achievements |
成長円錐とは、神経軸索先端に形成される運動性の高い構造体で、細胞膜伸展と細胞骨格形成を繰り返すことで軸索を伸ばす役割を担う。これまでに研究代表者は、成長円錐のリン酸化プロテオーム解析から小胞体と細胞膜の接触部位(メンブレンコンタクトサイト)において脂質交換輸送を担うNir2およびVAPBや、細胞膜PI4P合成酵素PI4KIIIαなどの細胞膜イノシトールリン脂質制御分子が顕著にリン酸化されていることを見出している。本研究では、メンブレンコンタクトサイトにおけるイノシトールリン脂質制御酵素による神経成長制御機構を明らかにするため、次の2課題に取り組む。 (1)PI4KIIIαの細胞膜局在機構におけるリン酸化の機能解明 (2) 成長円錐におけるNir2-VAPによるPI/PA交換輸送制御機構の解明 本年度研究代表者は、神経成長過程におけるPI4KIIIαの機能を調べるため、まず神経細胞膜PI4Pの分布を、PI4P抗体及びPI4Pプローブを用いて解析した。細胞膜PI4Pは神経細胞の中でも特に成長円錐膜に濃縮していることが明らかとなった。この結果は、成長円錐機能においてPI4Pの合成が促進されていることを強く示唆していた。また研究代表者は、チューブ状の小胞体が成長円錐膜とメンブンレンコンタクトサイトを形成していることを明らかにした。この結果から、Nir2-VAPが成長円錐膜と小胞体間で脂質を交換輸送している可能性が強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)PI4KIIIαの細胞膜局在機構におけるリン酸化の機能解明:成長過程の神経軸索において、細胞膜PI4Pが成長円錐に濃縮していることを明らかになった。この結果は、成長円錐におけるPI4KIIIαのリン酸化がPI4P合成を促進する生の制御機構である可能性を示唆させる結果である。 (2)成長円錐におけるNir2-VAPによるPI/PA交換輸送制御機構の解明:成長円錐膜においてチューブ状の小胞体が膜直下まで進入し、メンブレンコンタクトサイトを形成していることが明らかとなったことから、成長円錐においてNir2-VAPによるPI/PA交換輸送が起きている可能性が強く示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者は既に、成長円錐ではPI4Pが濃縮していることを見出している。神経細胞におけるPI4KIIIα及びその複合体形成因子の局在は一様であったことから、成長円錐においてはPI4KIIIαの活性制御機構が備わっている可能性が高い。成長円錐におけるPI4KIIIαの活性制御におけるリン酸化の関与について、野生型もしくは リン酸化部位変異型(疑似リン酸化、非リン酸化) PI4KIIIαの複合体形成と酵素活性について検証する。また、研究代表者は、成長円錐においてメンブレンコンタクトサイトが膜ダイナミクスに伴い形成されることを見出している。成長円錐膜において光刺激によるNir2の急性リクルートシステムを用い、Nir2のPI/PA交換輸送の活性のin vivo評価と膜ダイナミクスにおける機能解析を遂行する。
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