2020 Fiscal Year Research-status Report
Regulatory mechanisms of chromatin dynamics involving an interplay between HMG proteins and histones
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19K05957
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
清水 光弘 明星大学, 理工学部, 教授 (80231364)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | HMGタンパク質 / ヒストン / ヌクレオソーム / クロマチン動態制御 / ゲノム機能発現 / 出芽酵母 / 部位特異的化学切断法 / タンパク質-DNA相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヒストンH2A、H2B、H3、H4と非ヒストン性タンパク質HMGB(High-Mobility-Group Box)に焦点を当て、出芽酵母ゲノムにおけるクロマチンの動態制御機構を明らかにすることを目的とする。本研究の特色は、遺伝学・分子生物学的方法と化学的手法を組み合わせて、出芽酵母ゲノムにおける各タンパク質のDNA結合部位を明らかにできることである。今年度の研究実績の概要を以下に示す。 1.出芽酵母リボソームタンパク質遺伝子におけるHmo1の結合とヌクレオソーム動態 Hmo1の部位特異的化学切断法を確立し、RPS5とRPS11B遺伝子座のプロモーター領域におけるヌクレオソームの位置とHmo1の結合部位の同定した。次に、これらの遺伝子の転写が抑制されると、、Hmo1の結合は顕著に減少し,ヌクレオソームの配置が変化することを示した。さらに,RSP11Bのプロモーター領域における転写因子Rap1またはFhl1の結合部位を破壊した新規変異株8種類を解析した結果,プロモーター領域におけるヌクレオソームの配置とHmo1の結合において転写因子との協奏的な相互作用が示唆された。現在,次世代シーケンサーを用いてヒストンH2AとH4の結合部位のゲノムワイドで解析し,塩基対レベルの高分解能でヌクレオソーム動態を調べている。 2.トリプレットリピートおける塩基配列に依存したヌクレオソーム形成 出芽酵母ミニ染色体とH4-S47Cのケミカルマッピングにより,全10種類のトリプレットリピートにおけるヌクレオソームの形成をin vivoで解析した。その結果,AATとACTリピートはヌクレオソーム形成を促進すること,AGGとCCGリピートはヌクレオソームを排除することが示された。全10種類の配列の結果に基づき,in vivoでのトリプレットリピートにおけるヌクレオソームポジショニングの機構を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように、ヌクレオソームの配置決定におけるHmo1と転写因子Rap1,Fhl1との協奏的な相互作用によるクロマチン動態制御について解析が進んでいる。さらに,現在,新規ヒストン変異株を用いた次世代シーケンサーによる塩基対レベルの高分解能でゲノムワイド解析が進んでおり,ヌクレオソームの動態に関する新しい概念の提出が期待される。また,ヌクレオソーム動態におけるDNA配列の寄与についても解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
ヌクレオソームの配置とHmo1の結合における転写因子との協奏的な相互作用の解明:ヒストンおよびHmo1の新規Cys変異株とRPS11Bのプロモーター領域に変異導入した株を構築し,さらなる解析を進める。 ヌクレオソーム動態の高分解能ゲノムワイド解析:4種類のヒストン(H2A,H2B,H3,H4)の結合部位を次世代シーケンサーを用いてゲノムワイドで解析し,塩基対レベルの高分解能でヌクレオソーム動態を明らかにする。 クロマチンリモデリング因子FACTとヌクレオソーム動態のゲノムワイド解析:クロマチン動態を調べるために,HMGBホモログを含むクロマチンリモデリング因子FACTに着目し,その構成因子であるPob3, Spt6,Nhp6Aに関して部位特異的化学切断法を確立し,FACTとヌクレオソームの動態との関係をゲノムワイドで解析する。
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