2022 Fiscal Year Annual Research Report
アブラナ科植物の花粉・柱頭不和合性機構に関わる因子の遺伝育種学的研究
Project/Area Number |
19K05963
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高田 美信 東北大学, 生命科学研究科, 技術専門職員 (30451610)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | アブラナ科植物 / 自家不和合性 / 一側性不和合性 / 花粉・柱頭情報伝達 / 受粉時不和合性 |
Outline of Annual Research Achievements |
自家和合性(SC)変異体の原因遺伝子単離に関して、Brassica rapa A07染色体の自家不和合性(SI)遺伝子であるS遺伝子とは異なる領域上に座上する新規遺伝子について、柱頭のトランスクリプトーム解析の結果、候補となる3つの遺伝子を推定し、遺伝子多型解析、形質転換による機能証明実験を開始した。また、新たなSC変異体SC22系統の分離世代解析とQTL-seq解析の結果、A10染色体上にSC原因となるQTLを新たに同定した。SC22系統はF2世代においてSI:SC=10:1に分離し、異なる染色体に座上する複数の因子が関連すると考えられた。また、これまでのSI研究において、A10染色体に座上するSI関連因子は全く奉告されておらず、完全に新規な因子であると考えられた。この原因領域に関しても、柱頭で発現する遺伝子の選抜、遺伝子多型解析を行い原因遺伝子候補の選抜を行った。 S遺伝子座非依存型の受粉時不和合性機構の解析に関しては、新規な一側性不和合性組合せを示した雌しべ側、花粉側の両系統をそれぞれ用いた分離世代の遺伝分析、QTL-seq解析の結果、我々が既に報告している一側性不和合性遺伝子座がその原因であるという強い証拠が得られた。この結果は一側性不和合性遺伝子座の多型を原因とする受粉相手選別機構が当初考えられたよりも複雑な制御を受けていることを示すものであった。この不和合性形質と既知のSI関連因子であるSRK, MLPK遺伝子と不和合性形質との関連性を調査するため、対立性検定を行った。この結果、mlpk/mlpk変異体背景では不和合性形質が消失したため、自家不和合性と同一の反応系を利用するものと考えられた。この研究の際、mlpk変異体と自家不和合性系統との間で、S29系統がMLPK非依存的自家不和合性機構を持つことを明らかにし、論文を発表した。
|
Research Products
(2 results)