2020 Fiscal Year Research-status Report
A study of mechanisms controlling transposable elements in plant gametophytes
Project/Area Number |
19K05967
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
深井 英吾 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (00570657)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加賀 秋人 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 次世代作物開発研究センター, ユニット長 (30391551)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | レトロトランスポゾン / マメ科 / 生殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、植物のトランスポゾンがサイレンシングを克服し転移する仕組みについて、特に生殖を介して起きる現象に着目して研究している。今年度は以下の解析を行った。 (1)ミヤコグサ内在のレトロトランスポゾンLORE1aは、生殖細胞系列で転移し、とくに花粉で高頻度に転移する。これまでのデータより、LORE1aは花粉発達初期のステージから転移している可能性が示唆された。そこで、花粉発達初期におけるLORE1aのDNAメチル化パターン変動を解析したところ、LORE1aの活性化との関連が明確に示唆されるようなデータは得られなかった。現在、単離する発達初期花粉の純度を改良する工夫をするとともに、解析の内部標準の見直しなどを行っている。 (2)過去の研究からLORE1aは、ミヤコグサの遠縁交雑集団で転移していたことが分かっている。これが、生殖を介したトランスポゾンの活性化として普遍的な現象なのかについて調べるため、ミヤコグサの複数の組み換え近交集団において、LORE1aも含めたトランスポゾンの転移の有無を、ゲノムリシーケンスデータを用い解析した。結果、複数のトランスポゾンの転移を確認した。今後これらの活性化原因を解析することとした。 (3)ダイズのDNAメチル化に必須な遺伝子の機能欠損変異体を大規模栽培し、この変異の遺伝様式を解析するとともに、変異体と野生型のトランスクリプトーム、メチローム比較を、先進ゲノム支援のご協力をいただき、解析した。今後これらのデータから、変異体において活性化したトランスポゾンの同定、メチロームとトランスクリプトームの相関、ダイズにおけるDNAメチル化維持の機能などについて解析する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ダイズの解析は先進ゲノム支援のご協力をいただいたこともあり順調に進んだ。ミヤコグサについては、花粉のデータ解析について技術的な問題を克服しつつある。また交雑集団のデータは、今後生殖とトランスポゾン活性化の関係を研究する上で重要な鍵となると考えられた。以上から研究は概ね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
花粉のLORE1aのDNAメチル化レベル変動については、確証を持てるデータを得て結論を得る。交雑によるトランスポゾンの活性化原因については、組換え近交集団を用いた遺伝学的なアプローチで解析を試みる。ダイズについては、トランスクリプトームとメチロームから得られたデータから、活性化したトランスポゾンの候補を同定し、それらの転移の有無を実験により検証するとともに、変異体に見られる表現型異常の原因同定の実験に着手する。
|
Causes of Carryover |
今年度はほぼ全額利用したが、少額のみ次年度に持ち越すこととなった。
|
Research Products
(2 results)